暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第??話 -彼のいないところで-
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
――ごめんね、新ちゃん。あの約束を…――



そこはコンテナが保管されている、どこかの港のようだった。岸壁には二台の車が止まっており、その一つの車のドアには左腹部から出血している眼鏡をかけた女性と気絶した幼い男の子が寄りかかっていた。その車の横、雪が降ってきそうな寒空の下二人の女性が対峙していた。一人は男ものの装いをした、金髪を腰まで伸ばした20代の女性。もう一人は赤みがかった茶髪の、左のレンズに幾何学模様が浮かんだ眼鏡をかけた小学校低学年とみられる女の子。

「Good night,baby…And welcome…Sherry!!」

金髪の女性は、シェリーと呼んだ女の子に右足に括り付けていた小型の拳銃を突きつけた。少女の目は拳銃を突きつけられているというのにおびえた様子はなく、むしろキッと女性を睨み返していた。

「バカな女…このボウヤのカワイイ計画を台無しにするなんて。ここに来れば殺されるなんて分かるようなものでしょう?」

その言葉にシェリーはかけていた眼鏡を外し、覚悟を決めた表情をした。

「私はただ死にに来たわけじゃないわ。全てを終わらせに来たのよ…例え、この場で貴女が捕まっても私が生きている限り、貴女達の追跡は途絶えそうにないから。でも、貴女以外にただ殺されたのなら私によくしてくれた周りの人たちも巻き込まれてしまう。だから…私は貴女に会いに来た。私はココで大人しく殺されるわ。そのかわり約束してくれる?私以外誰にも手をかけないって…」

そう言ったシェリーは不安そうな顔をした。金髪の女性が組織で重要なポストにあることを知っていた。それはつまり、彼女が約束を守れば死ぬのは一人だけ。だが組織で地位が高いという事はそれだけ非道、冷徹な面を持っているという事と同義だ。故に彼女は自分の命をベットした。恩人たちの命を守るために。

「…ふーん。いいわ。このFBIの女以外は助けてあげるわ。貴女を保護したあの博士って人もね。じゃあ私も殺す前に一つ。貴女、ピスコがへまをした時にジンに会っているわよね?その後、群馬の鉄道橋から身を投げた。あの場には組織の追手が貴女を尾行していたわ。そのことに貴女は気付いたからこそ飛び降りたのでしょうけど…一体どうやって生き残ったのかしら?追跡員の眼鏡につけていたカメラの映像では確かに貴女はあの川に落ちていたわ。ただの研究員だった貴女が生き残れるはずないわ」
「…そうね。私がココで命を散らさないといけないのは、私のために無駄に危険に突っ込んでしまうお人よしがちかくにいるからよ。あの人は…そう太陽のような人。そこにいるだけで周りの人を照らし温かな気持ちにしてくれる。だけど闇に潜む者にはその光は焦がれてもその光は強すぎて目を焼いてしまう。彼はなんてことないように私を助けてくれるわ。だけど彼は表でこ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ