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名探偵と料理人
第四十一話 後編 -そして人魚はいなくなった-
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「大おばーちゃんと私は神社の敷地内にある…あの家に住んでいるんです」
「へぇ……」
「それにしても…龍斗君?だっけ。君すごいのね。まさかあの滝を駆け上るなんて。まるで映画の超人みたいだったわ。あんな動きのできる人間って本当に存在してたのね…」
「あははは。まあうちは特殊な家系なんで…あれくらいは父方の親戚ならだれでも…」
(おい、工藤。今の聞いたか?)
(ああ、まさかあんなびっくり人間が龍斗以外にもいるなんてな)
(もしかして緋勇家に頼めば例の組織も壊滅できるんとちゃうか?)
(ははは、まっさかー……まさかな?)

おうおう、新ちゃんと平ちゃんも好きかって言ってくれるじゃないか…いやまあできるだろうけどね。
俺達は寿美さんの遺体は駐在の人と診療所の医師、そして有志の方々に任せて島袋家に向かっていた。君恵さんの説明の通り、彼女らの家は神社の拝殿の生け垣を挟んで隣にあった。移動時間はそうなかったが、雑談の中で君恵さんは命様の名前が「命」ではなく「弥琴」であることを教えてくれた。家に着き、彼女はコタツのある居間に俺達を案内すると弥琴さんを呼んできますと部屋を出ていた。

「しっかし古い家だなあ」
「儒艮の矢で儲けてるとは思えへんな」
「なーに言うとんの。あの札一枚5円やで?」
「5、5円やて?」
「本当なの和葉ちゃん?」
「昔からそうなんやって。島の人が言うとったわ」
「あの札、ウチら三人は番号の書いてあるのを貰えたけど本当は皆が番号札を貰えるわけではないらしいです」
「どういうことなの?紅葉ねーちゃん」

新ちゃんの質問に答えたのは紅葉ではなく、新ちゃんの隣に座っていた蘭ちゃんだった。

「あの札、全部が全部番号札じゃないらしいの。なんか大きな箱に一杯札が入っていて皆が並んで一斉に一枚ずつ引くんだって。その箱の中には1から108まで番号が書かれた札と何も書かれていない札があって、番号札が全部出たらそこで打ち止め。その108枚の中からあのおばーちゃんが当たり番号を三つ、あのお祭りで教えるってわけ」
「へぇ。じゃああのタイミングでお札を貰えて、しかもあたり札だった和葉ねーちゃんはずっごいラッキーだったんだね!」
「ありがとぉ、コナン君!」

なるほど。確かに今日島に来て見て回ったが、108人じゃきかない人数の観光客が来ていた。その全てが儒艮の矢を目当てにしているとは言わないが明らかに札が足りないもんな。145歳のお婆さんを見に来ている人も中に入るかもしれないが……

「それにしても遅えな、あのばーさん…」
「君恵さんは一応声をかけてみるけど今日は疲れてるから会うのは無理かもって言ってたじゃない、お父さん」「コッ」
「ああ、そういえばそんなことも…」「コッコッ」
「ん?なんやこの音?」「コッコッコッ」

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