暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第三十話 -世紀末の魔術師(3/6)-
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「私は香坂夏美と申します。後ろに立っているのは執事の沢部です。私の曽祖父は喜一といいましてファベルジェの工房で細工職人として働いておりました。現地でロシア人の女性と結婚して、革命の翌年日本へと帰国して曾祖母は女の赤ちゃんを産みました…」

俺達は客船の金庫の前の部屋に集まり、夏美さんの話を聞いていた。夏美さんは自身の生い立ちを語った。曽祖父である喜一さんがファベルジェに縁のある方だったらしく、メモリーズエッグの図面を一月前に亡くなった祖母の遺品整理で発見したとのことだ。しかし史郎さんの所にあるエッグとは違い、その図面のエッグには宝石がついていた。その相違から昨日美術館へと直談判に赴いたとのことだった。

「確かにこの図面には宝石がある……」
「元々宝石がついていたのが、取れちゃったんじゃないんでしょうか?」
「ねえ、もしかしたら卵は二つあったんじゃない?」
「え?」

図面を覗きこんでいた新ちゃんがそう言った。

「だって、1つの卵が書いてあったにしては輪郭が微妙に合わないじゃない?多分、元々大きな紙に二つ書いてあって真ん中の絵がごっそりなくなっているんだよ」
「な、なるほど」

確かにそう言われて見てみると、大きさが違うのが分かる…って、新ちゃん。エッグを持ち上げて何をしてる……んだ…あー。

(…あ、やべ、取れちゃった……)
「ちょっとコナン君、何してるの?」
「エッグの底に鏡がついてたんだけど……取れちゃった…」
「なに…!?」
「コナン君!?」
「ああ、いいのいいの。あれ、簡単に外れるようになってるから。どうやら後からはめ込んだみたいなのよね」

新ちゃんはその外れた鏡を気にしているようだった。…ん?光が反射して新ちゃんの手のひらに絵が映ってる?あれは……城、か?

「西野さん!明かりを消して!!」
「え?あ、ああ…」
「まーた、おまえはしょうこりもなく…って、あら?」
「どうしたの、コナン君?」
「まあ見てて」

西野さんは新ちゃんが言った通り直ぐに電気を消してくれた。そして新ちゃんは腕時計型懐中電灯の光を鏡に反射させて、俺がさっき盗み見た像を壁に映し出した。

「お?」
「おお!」
「なんだ?」
「ど、どうして絵が?」

セルゲイさんのその言葉に答えたのは乾さんだった。

「魔鏡だよ」
「魔鏡?」
「聞いたことがあるわ。鏡を神体化する、日本と中国にあったと言われる…」
「そう。鏡に特殊な細工がしてあってな。日本では隠れキリシタンが壁に映し出された十字架をひそかに祈っていたそうだ」
「沢部さん、このお城って」
「ええ。横須賀のお城に間違いありません」
「え?横須賀のお城ってテレビドラマやCMとかの撮影でよく使われている?」
「はい。元は曽祖父が建てたもので
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ