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Raison d'etre
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「いや、この話はやめよう」
 姉は口を閉じ、少女の膝に乗っていたキーボードをそっと手に取った。そして、そのままキーボードを弾き始める。それを見て、少女はある事に気付いた。
「姉さま、さっき、音楽は周波数がどうのこうのって言ってたけど、間違ってると思う。音楽はね、和音だけじゃなくて、リズムとか大きさなんかも大事なんだよ!」
 私がそう言うと、姉は手を止めて、じっと少女の顔を見つめた。
「そう、かもしれないね。確かに記号の操作だけじゃない。なるほど、凛の言う通りだ。凛は将来良いピアニストになるだろう」
 姉はそう言って、少女の頭をくしゃりと撫でてくれた。少女は誇らしそうに電子キーボードを抱きかかえた。
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