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鎮守府のみかんの木
1.自己紹介
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 私はみかんだ。海が見えるこの地に植えられ、もう10年ほどになる。この土地の地主が気まぐれにホームセンターで苗木の頃の私を見つけ、そして私は購入されてこの土地に植えられた。

 地主は私のことを大層かわいがってくれたが、私が充分に成長して実をつけるようになる前に、この世を去ってしまった。それが5年ほど前の話だろうか。

 その後、私が腰を下ろすこの地は軍に買い上げられ、『鎮守府』とかいう施設になった。なんでも海から化物が攻めてくるとかで、その前線基地が必要になったんだとか。そのためには、私が鎮座するこの地は、まさにおあつらえ向きだったそうだ。

「よっ。お前さんはここの先輩だな。一つよろしく頼むよ」
「みかんさん。よろしくおねがいするのです」
「どうかよろしくお願い致します」

 私の周囲での工事が終盤に差し掛かった頃、こんな風に三人組の男女が私に挨拶に来ていた。男はあの地主とくらべて若干若いが、それでも二人の女の子に比べて、随分と歳が離れているようだ。小さい子の父親なのかもしれない。

「ちょっと提督、やめてください……」
「いいじゃないの先輩なんだから〜」

 男はそう言って、私の幹をひたすらバシバシ叩いていた。正直、痛いからやめてほしかったのだが……

 一方2人の女の子たちは、セーラー服といったか……似たような服を着ていた。背が高くて髪が黒い方はメガネを掛けていたな。小さい方は茶色い長髪を後ろで上げていた。二人共とても優しそうな子で安心したもんだ。

 やがてこの『鎮守府』とやらにも、一人、また一人と新顔が増えていった。私の前でやたらとポーズを決めて『ふふ……怖いか?』と凄んできたり、頭のてっぺんから生えた妙な触手で私の枝をパシンと叩いて、『んー……まだうまくアホ毛を使えないクマ……』とよく分からないことを言われたり……

「みかんさん。はじめまして。赤城と申します。……あなたの果実、楽しみにしております。キリッ」

 赤い弓道着が眩しい、黒髪の背が高い女性にこんな風に妙に熱い視線で見られたり……まぁ色々あった。

「みかんとやら。私はネルソン級戦艦2番艦のロドニーだ。暫くの間、この鎮守府の世話になる。……貴公の果実は美味だと聞いた。それまで私がここに所属していられたときは、その果実、存分に堪能させていただこう」

 こんな感じで、鎮守府は少しずつ発展し、それに合わせて、ここに所属する人間も増えていった。女の子ばかりだというのが少々解せなかったが……まぁいい。何か事情があったのだろう。

 やがて人間と深海棲艦? だかが争っていた戦争は終焉。そしてこの鎮守府は鎮守府ではなくなり、人間と深海棲艦の交流の場へと、その姿を変えた。

 だが、ここにいるみんなの生活は変わらない。のどかな……少なく
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