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名探偵と料理人
第二十一話 -初恋の人想い出事件-
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「まったくもうー。せっかくの夏休みだっていうのに、なんでこの園子様が新一君家の掃除を手伝わなきゃいけないのよ。放っときゃいいのに龍斗君と紅葉ちゃんまで駆り出してさー」
「ゴメンねー。ずいぶんと埃が溜まってそうだったし私1人じゃ大変そうだったから。龍斗君と紅葉ちゃんもありがとうね」
「ええよー。どうせ今日はヒマやったし」
「最近は掃除の手伝いをしてなかったし全然気にしなくていいよー。終わったらなにか涼しいスイーツでも作るからがんばろ?園子ちゃん」
「え、ホント!?……ハッハッハ、ならこの園子様に任せなさい!!ささのさー!」
「わー!じゃあ頑張んなきゃね……あ、園子床の前に本棚の埃をはたいて!」
「え?」
「ほら、掃除は上からって言うでしょ?それと床を掃くときは目に沿ってね」
「ババくさいよー蘭……はあーっ…今どきの女子どもは足出して胸出して男を釣って純愛だの初恋だのにうつつを抜かしているって言うのに。龍斗君のスイーツのご褒美ができたとはいえ、あの推理オタクのために埃まみれになっているとは……あたしゃー、情けなくて涙が出るよ」
(すまないねー、みんな)

とある夏休みの1日、蘭ちゃん発案で工藤邸の大掃除を行うことになった。運よくみんながみんな用事がなく全員参加でお掃除となった。

「初恋って言えばさぁ。新一の初恋の人ってどんな人なのかなあ」
「え?」(んな?)
「してるよね?新一だって恋の一つや二つ……」
「そ、そらあどないやろなあ?なあ龍斗?」
「んー、どうなんだろうねえ。サッカーに推理小説に探偵業とそればっかりだったような気もするけどねえ。中学からはずっといたわけじゃないからそこら辺はわからないかな」

ちょっと意味深なことを言ったせいか、新ちゃんに睨まれてしまった。すまんすまん。

「どうだか……あの男、その方面は超ニブでタンパクだったからねー。まあ、せいぜいあの美人の母上か、それつながりのどこぞの女優か。もしくは……」

そう言って、園子ちゃんは蘭ちゃんの方へずいっと身を寄せた。

「そういえば、あやつって子供のころから蘭とずっと一緒にいたよね?」
「う、うん。まあ龍斗君も一緒にいたけど」
「彼はいいの!どっちかって言うと保護者みたいなもんでしょ!!と・も・か・く!ずっと近くにいて、気は優しく料理は師匠が世界一なだけあってそこらの店の物より美味しい。おまけに力持ち……ずばり、新一君の初恋の相手は蘭とみた!」
(おいおいおい!)
「まっさかー。新一とは幼馴染で一緒に遊んでいただけよ。それに幼馴染みって言ったら園子も同じじゃない!」
「ああ?それもそうか。私は新一君も龍斗君も男としては興味ないからなあ。でも……蘭の例もあるしねえ」
「「え?」」
「蘭の初恋の人って新一君でしょ?」
「な!?」(
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