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提督はただ一度唱和する
大いなる誤算
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、湧き出る衝動に抗えなかった。だから、ちょっとだけ昔に戻ることにした。
「まあ、何とかしてみます、先輩」
 貴様も摩耶の同類か。そうなのか。こっそり後輩に押しつけようとしたところで、まさかの裏切りにあい、新城は西田を睨んだ。西田は舌を出す。
 コーヒーは冷め切っている。


                      §


 新城の予測は、大方の人間が抱くものだったが、多分に楽観を含んでいた。関心は政治的な方向に向き、混乱は長引いていた。深海棲艦というものは、決して侮ってはならない相手である。束の間の平和は、そんなことさえ忘れさせた。
 そのツケを、深海棲艦は律義にも回収に来た。その知らせを、新城は本格的な雪の訪れと共に聞いた。
 すなわち、深海棲艦による全面攻勢。
 敗亡の足音が高らかに迫り来る。誰もそれを押しとどめられない。
 今は、まだ。
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