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星河の覇皇
第六十六部第二章 連合の小国その一
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                       連合の小国
 連合は豊かな国だと言われている、このことは自他共に認めていることだ。
 そしてその中には三百以上の国がある、その中には当然ながら大国もあれば小国もある。中央政府を訪れサハラへの帰路につく中でだ、アッディーンは周りの外務官僚達に言った。
「次に訪れる国だが」
「ブータンですね」
「あの国ですね」
「あの国の何代か前の国王が趣味でか」
 先日聞いた話をここでするのだった。
「かつて築かれた城を建築させたのだったな」
「国王のポケットマネーで」
「王室費の中で自由になる範囲で」
「ご自身の生活費を切り詰めてまでしてです」
「そうしました」
「そうだったな、面白い話だ」
 アッディーンはこうも言った、表情を変えずに。
「かつて築城、いや建築はかなりの浪費だった」
「権力者の病ですね」
「そうも呼ばれていましたね」
「権力にある者は豪奢な宮殿や自身の陵墓を築きたがり」
「それで多くの労力と国費を国家に負担させ」
「そして国家を疲弊させてきました」
 こうした話が東西に多くあった、特に有名であるのが秦の始皇帝だ。中国の歴史上最初の皇帝であるこの皇帝は無類の建築好きであり万里の長城に自身の陵墓に宮殿の阿房宮等を建築させ多くの労力と国費を使わせていた。
「それは古代の話で」
「今ではです」
「多くの国費を負担するどころか」
「国王のポケットマネーで、です」
「幾らでも築城出来ます」
「そうした風になりました」
「特に連合では」
 豊かなこの国ではというのだ。
「そうしたことが普通に出来ます」
「ブータンは連合の中では小国ですが」
「それでもです」
「そうしたことも出来ます」
「宮廷費はかなり切り詰めたそうですが」
「そうしたことが出来る様になりました」
「国家の規模が大きくなった」
 アッディーンはまずはこの要因を話した、建築が権力者の病とまで言われる国家への負担とならなくなって理由を。
「数千万程度の、しかも地球のほんの一地域規模の国家での建築はな」
「かなりの負担でした」
「どれだけの大国でも」
「所詮は数千万程の人口です」
「ましてや古代国家は国力も低いです」
「そうした状況で建築をしては」
 それこそ、というのだ。
「国力を使ってしまいます」
「それも相当に」
「古代は技術も生産性も低いです」
「今と比べますと」
 宇宙にまで進出している時代と産業革命はおろか鉄がようやく出来る様になった時代ではである。それこそ。
「車も何もないのです」
「飛行機もです」
「宇宙への進出なぞ夢どころかです」
「宇宙の存在すら把握されていませんでした」
 古代、いやルネサンス以前はだ。
「そうした時代では」
「建築も
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