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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八 火蓋を切れ
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に悟った。

それよりも、普通なら手練れの忍び九人がかりで、それも三日三晩掛けてようやく可能となる術を、たった一人で、その上三時間程度で行ったその力量に、内心舌を巻く。

「終わったのか」
「ああ」


我愛羅を地面に丁寧に横たわらせたナルトが軽く首を捻る。
我愛羅の胸が上下に動いていないのを一目見て、デイダラとサソリは我愛羅の死を確信した。

「さて、これからどうする、うん?」

指示を仰ぐデイダラをちらりと見遣って、それからナルトは岩向こうへ眼をやった。
深海より深い蒼の瞳が、ふっと懐かしげに緩められる。しかしながらそれは一瞬で、その上薄闇の中なのもあり、デイダラもサソリも気づかなかった。


「任せる」
「やっぱ、そうなるか…うん」

ナルトの一言に、デイダラは苦笑いしつつも、どこか誇らしげに笑う。サソリもまた心得たとばかりに頷いたが、直後「いいのか?」と不敵に問うた。

「外の連中の一人は、確かお前のノルマだろう…悪く思うなよ、坊」

九尾の人柱力である波風ナルを言外に匂わせたサソリの視線に、ナルトは無言で応えた。

答えぬまま、我愛羅に視線を落とすと、「丁重に扱えよ。お前の片腕を奪ったほどの実力者なんだろ」とデイダラに釘を刺す。
腕が無いことを既に見抜かれていたとわかって、我愛羅と一戦交えたデイダラは気まずげに視線を彷徨わせた。



「ところで、九尾の人柱力は、一体どんな奴だ…?」

ナルトのノルマである相手を自分の手柄にする気満々のサソリが悪びれた様子もなく、問い掛ける。
その問いに、ナルトは暫しの沈黙の後、涼しげな顔で一言答えた。


「一番最初に大声で怒鳴ってくる子かな…」

ナルトにしては、大雑把な返答に、サソリとデイダラは一瞬虚を突かれた。直後、呆れた声をそれぞれあげる。

「あァ?なんだそりゃ」
「もっと具体的な特徴はないのか、うん?」

サソリとデイダラの視線を一身に受けたナルトは、やはり微塵も動じず、軽く肩を竦めてみせる。
そうして、我愛羅を残したまま、一瞬でその身を消した。



瞬く間に消えてしまったナルトに、「あらら」とデイダラは眼を瞬かせた後、からかうようにサソリに声をかけた。

「ナル坊のノルマ、とっちまっていいのか?サソリの旦那」
「あの返答だと構わねえんだろ…」


デイダラの揶揄に、面倒臭そうに答えたサソリは、改めて岩の向こうを透かし見る。

九尾の人柱力が、ナルトの助言通りの人物であるかどうかを見極めるように。

























巨石の中央の『禁』の札。
結界の種類がどんなものか見極めようとしていたカカシは、次の瞬間
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