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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第22話『神話の時を超えて〜対峙した魔王と勇者』
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「大丈夫か!?ザイアン!」
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偶然立ち会わせたからよいものの、もし銀閃アリファールの切っ先が出遅れていたら、ザイアンは未練のまま命を落としていただろう。

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助けないわけにもいかない――というわけでもない。

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例え利用価値があるなしで救いを決めつけるのは、勇者にとって、人間性に欠いたこととしか思えない。

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今という一時を助けたかった――ではない。

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先という今後を助けるために、凱は銀閃殺法『八頭竜閃(ヤマタノオロチ)』を放った。

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だが、銀閃の勇者シルヴレイブの竜舞(ヴェーラ)よりに先んじた青年の『斬撃』があった。

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同時にそれが、ザイアンという命にして的を狙う機械仕掛けの魔弾(ダーツ)を防いだ――という事実。

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先手を取られた凱には、驚愕する余裕などない。目の前の青年に対して。

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その青年の名は――
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「貴様は……ノア?」
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呻きに近いような、ザイアンの一声。

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自分より有能で父に重宝されていた同世代の青年。微笑を崩さないまま、ザイアンに一瞥をくれる。
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「大丈夫ですか?ザイアンさん」
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ザイアンに優しく差し伸べられる、金髪青年たる華奢な手。
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まともに責務を果たせなかった『へたれ』な自分を気遣ってくれているのだろうか?しかし、父に言葉を届けられなかった今のザイアンにとっては、そのような労りなど傷に塩でしかない。

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うっとうしい――という感想しか沸かなかった。

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金髪の青年ノアの行動を咎める一人の兵士が、銃を突き付けながら声を上げた。
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「ノア様!我々はザイアン様が逃亡される場合は射殺せよとの命令を受けています!」
「すみません。僕自身はそんな命令を受けていないんで」
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落ち着いたノアの言葉の裏腹に、不気味な雰囲気が漂う。

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情がないから、慈悲を乞われても耳を傾けない。

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打算がないから、益があろうと武勲に先走ることもない。

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テナルディエ、ガヌロン双方に重宝される――女王以上の最高の駒。

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そんな駒だからこそ、ザイアンを射抜こうとする兵をノアが止めることさえも、テナルディエはあっさり予測していた。

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情も打算もなければ確実に予定通りとなる。

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まさに『盤上』の駒として最高なのだ。このノア=カートライトという青年は。

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そのノアに誰もが手を出せないでいると、止まった空気を打ち破るかのように、静かに彼はつぶやいた。
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「……失礼しましたガイさん。さあ、この先にテナルディエさんがお待ちです」
「分かっている」
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立ち止まっていた足取りは数秒を置いて、一斉に動き
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