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チート持ち連中ばっか勇者になっててムカつく
一話 三人の男
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「その代わり、優勝すれば300コインだからな」
「マジで!?」
ガバッと顔を上げ目の色を変えるトール。忙しい奴だなぁとレインは思った。
「これは参加するしかねえなあおい!レインが!」
「僕なんかい」
「仕方ねえじゃんよー俺コイン持ってねーし。それより大事な10コイン俺に預けて無駄にしちゃっていいのかなぁ?」
「それもそうだね」
「いや納得すんなし」
挑発的な態度をとっていたトールだが開きなおったレインを見て冷静になる。
「優勝すりゃ30倍だ。パーティー1の怪力、頼んまっせ」
「自信は無いけど、みんなのためだもんね。よし!」
「はい毎度」
期待に応えるべく、気合い入れ直したレインは男に10コインを渡す。
そこに、透き通った声が響いた。
「俺も参加させてもらっていいかな?」
声の主の方を二人が見ると、そこには金髪の好青年が立っていた。
腰には立派な剣を携え、身体中を鎧で覆っている。その姿に二人は見覚えがあった。
「あ、あんたもしかしてヤマザキ キョウスケじゃねえか!?」
「本当だ。今日の大会で優勝して、勇者になったキョウスケだね」
「ああ、俺はヤマザキ キョウスケだ。そういえば黒髪の君、どこかで見た事あるような・・・」
キョウスケはレインを指差しうーんと唸りながら思い出そうとしていた。レインはキョウスケが答えを捻り出す前に答える。
「レインだよ。といっても倒した相手の名前なんて覚えてないかな」
「そうそうレインだったな。あのハンマーの一撃は重そうだったよ」
「一回も当たらなかったけどね」
レインは大会の時の事を思い出しながら苦笑する。
レインはキョウスケと一騎打ちになった後、相棒のハンマーをキョウスケに向けてぶん回した。
しかしその攻撃は一つも当たらず、代わりにキョウスケの鋭い剣撃によって返り討ちにあったのだ。
「確かにキョウスケの回避術は見事だったよな〜。まるで未来が分かってるかのようだったぜ」
「まあ鍛錬を積んだからな」
「この街に来て間もないはずなのに・・・一体どこで暮らしてたの?」
「んーまあここから結構遠い国かなあ」
「「へーー」」
キョウスケの言葉を聞きながら二人は遠い国の事を想像する。
レイン、トール、そしてイリスもグレイゴルから別の国へ行った事は無かった。
「大層危険な旅路だったろう、やっぱり強いんだねキョウスケは」
「それほどでも無いさ」
「謙遜すんなって。どっちみち腕相撲勝負でハッキリ分かるってーの」
酒樽の周りには屈強な男達が集まっていた。さっきのガタイのいい男が「始まるぞー」と三人を呼んだ。
「手加減しないぞ、本気でいかせてもらう」
「こっちこそ、相手してやるぜ!レインがな!」
「やっぱり僕なんかい」


「・・・また一騎打ちかな」
「みたいだ」
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