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麗しのヴァンパイア
第二話

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                    第二話  不思議な洋館
 神戸のある場所、六甲の山の麓にあるそこに何時の間にか一軒の洋館が建っていた。人々はその洋館を見て思った。
「不気味だな」
「奇麗な洋館なのに」
 見ればフランスの宮殿を思わせる見事な洋館である、庭も広く敷地面積もかなりで金がかかっていることも一目瞭然だ。
「それでもな」
「日が差しているのに差していないみたいな」
「不思議な洋館だよ」
「気味が悪いわね」
「気付いたら建っていたし」
「誰が住んでいるのかしら」
 家ならば住人がいる、その住人についての話題にもなった。
「あんな立派な家に」
「いや、誰か住んでるのか?」
「表札ないぞ」
「けれど庭はいつも奇麗で建物も」
「いつも整っているし」
「誰が手入れしているんだ?」
 いつも奇麗なのでこのことについても話された。
「あんなに奇麗にしているのは」
「いつも薔薇や菫や菖蒲が咲き誇っているし」
「誰かいるんだろうけれど」
「どんなお金持ちが住んでいるんだ?」
 あまりにも見事な洋館なのでこのことも話された。
「あんな立派な洋館に」
「外国人じゃないかしら」
「何処の人?」
 外国人ならばどの国から来たかという話にもなった。
「それだと」
「あれオーストリアの建築様式だよ」
 建築に詳しい人がこう指摘した。
「十九世紀位の」
「じゃあオーストリアの人?」
「そこから来た人なの?」
「モーツァルトのお国の」
「あの国から来た人なのかしら」
 それならという話になった。
「住んでいる人は」
「相当なお金持ちなのは間違いないだろ」
「だよな、あんな豪邸建てるんだし」
「けれど人いるの?」
「観たことないし」
 人が洋館に出入りしたり家の庭を誰かが歩いていたり洋館の窓に誰か人が見えたこともないというのだ。
「しかも雰囲気が不気味だし」
「本当に何というか」
「お化け屋敷じゃないよな」
「まさかと思うけれど」
「けれどあの気配は」
 お化け屋敷とすら思えるというのだ。
 とかくその洋館を見て多くの者が何か得体の知れない不気味さを感じていた、気付いたらそこにあった見事な洋館を見て。


第二話   完


              2017・12・6
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