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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第67話『開戦』
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「──っ」ドサッ


結月の首元に手刀を一発。その瞬間有無を言わさず、再び結月の意識は深い霧の中に沈んでいった。





「あの娘を攫った奴の正体・・・そりゃたぶん魔王軍の奴だ」

「どうして言い切れるんですか?」


作戦を練るために繁華街からの帰宅途中、カズマからそんな言葉が飛び出た。結月を攫った人物の正体がわかるならそれに越したことは無いが、理由は気になる。


「霧のこと覚えてるか? あの霧は魔力によって作られたものだ」

「それは思いましたけど、だから何です?」

「人が居なくなってたってことは、人避けの結界の一種だろう。しかも繁華街全域となると、かなり大掛かりだ」

「つまり、それができるのは魔王軍くらいだろう、ってことですね?」

「そういうこと。ま、正確には"幹部"かな」


カズマの辻褄の合う自論を聞いていると、不意に新しい単語が出てくる。尤も、晴登にとってはマンガでよく見かけるため、イメージは掴めた。要は"幹部"とは、魔王の次に偉い階級のことであろう。


「だったら、幹部はどうして結月を攫ったんですか?」

「そこはわかんねぇ。人質って訳じゃ無いだろうし。ただ幹部が直々に出てくる辺り、警戒はされてるんだろうが」


敵の行動が読めず、思考が滞る。理由が有ることは明白なのに、その理由が皆目見当もつかない。


「……考えても無駄そうだ。とりあえず、婆やに訊いてみっかな。魔王軍については、婆やの方がよく知ってるし」

「そうなんですか?」

「あぁ。何度が闘ったらしいからな」

「えぇ!?」


ここに来てまさかのカミングアウト。確かに、あの若々しい見た目で歳が三桁とかいう、マンガでしか居なそうな人物だから、何かしら秘密は有るだろうとは思っていたが。


「それに、俺だって・・・」

「?」

「……いや、何でもない。それより、急いで戻ろうか。少し走るぞ」


何かカズマが言いかけた気がしたが、誤魔化されたので言及しないでおく。晴登にとっては、結月を救うことの方が優先なのだから。






「・・・カズマの意見は合っとる。それは十中八九、"霧使いのミスト"じゃ」

「"霧使いのミスト"…?」

「魔王軍幹部の一人でな、その二つ名の通り霧を用いた魔術を使用する。アンタらが見たのは恐らく"隠密の霧(ヒドゥン・ミスト)"、対象と周囲の存在を乖離させる魔術じゃ。言わずもがな、上級魔術じゃよ」

「マジか…」ハァ


敵の能力の高さに、思わずため息をついた。二つ目の世界を作り出すだなんて、まるで"シュレディンガーの猫"を彷彿とさせる技である。


「それにしても、よく知ってますね?」

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