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儚き想い、されど永遠の想い
156部分:第十二話 公の場でその十四

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第十二話 公の場でその十四

「それなのに今日は」
「確かに早いな」
 父もそのことを言ってきた。
「普段よりもな」
「そうですか」
「うむ、早い」
「いつもよりずっとです」
「何かあるのか?」
 父は末娘に問うた。
「それでは」
「あっ、それは」
 察せられてると思ってだ。真理は隠した。
 それを隠してからだ。彼女はこう両親に話した。
「何でもありません」
「何もないか」
「そうなのですね」
「少し。御馳走を食べたいと思いまして」
 気恥ずかしそうな笑みでだ。こう話すのだった。
「それで」
「何だ、それでか」
「それでなのですね」
「意地汚いとは思いますが」
 それでもだというのだ。事実を隠しての言葉だった。
「それでも」
「ははは、真理はまだ子供だな」
「そうですね」
 両親はそんな真理の言葉を聞いてだ。優しい笑みで言うのだった。
「料理を楽しみにするとはな」
「音楽かと思ったのですが」
「音楽も好きですが」
 それは否定しない。しかしそれでも真実を隠してだ。
 そのうえでだ。両親に話すのだった。
「それでもです。私は」
「まあいい。楽しみがあるならな」
「それならそれでね」
「それでいいのですね」
「仕方ない。真理はまだ子供か」
「それならです」
 両親はそんな末娘をよしとしてだ。そのうえでだった。
「では他の子達もだな」
「幸い皆屋敷にいますし」
 その兄と姉達もだ。今は屋敷にいるというのだ。
 そのことを述べてだ。彼等は一家でだ。
 舞踏会に向かうのだった。真理は舞踏会に向かうその車の中で一人覚悟を決めていた。そしてそのうえでだ。その場に向かうのだった。


第十二話   完


                 2011・5・25

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