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提督はBarにいる・外伝
加賀の恐怖体験・2
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ける。提督に鍛えられた身体能力と技能が、提督を追跡するのに役立っているというのが何とも皮肉な話である。

『こんな所で迷ったら、自力での脱出はほぼ不可能ね……』

 そんな事を考えながら、焦燥と緊張感からか真冬のヒンヤリとした空気の地下空間だというのに、加賀の額には汗が浮き出始めていた。




 しばらく歩き続け、僅かにだが足に疲労を感じ始めた頃。3人が急に立ち止まったのを見て、加賀は慌てて身を隠す。通路の角から顔を出し、3人の行動を監視する。どうやら提督が再び鍵を取り出しているようだった。その間も3人に会話は無い。それがまた不気味な雰囲気を醸し出している。幾つも鍵が取り付けられているのか、鍵同士のぶつかるジャラジャラという音だけが地下道に響く。

「ふぅ……」

 開錠にはしばらくかかりそうだと判断し、地面に腰を下ろす加賀。尻が汚れてしまいそうだが、今はそれよりも緊張感から解放されて僅かでも疲れを取りたかったのだ。同時に視線も3人から外し、地面を見る。地下水脈が近いのか、程よく湿った土を眺めていると、土に埋もれるように白い何かがその一部を覗かせていた。

『…………?石か何かかしら』

 ほんの興味本位でそれに手を伸ばし、指先で器用に使い、掘り返す。意識の端でまだガチャガチャと鍵を開ける音がしているのを確認しつつ、何かに取り憑かれたかのように柔らかい土に指を差し込み、その塊の引っ掛かりを見つけて一気に引っこ抜いた。あまりにも勢いを付けて引き抜いたせいか、引き抜いた『ソレ』を顔の高さまで持ち上げた。持ち上げてしまった。瞬間、ぽっかりと空いた2つの眼窩と加賀の目が合う。一瞬、それが何なのか理解できず、少し目元から離してまじまじと見つめて正体に気付いた瞬間、

「ひっ……!」

 と再び小さく悲鳴を上げて咄嗟に自分の口を抑えた。眼窩の間に空いた穴と、所々抜け落ちてはいるが綺麗に生え揃った歯。そう、加賀が石ころか何かだと思って掘り起こしていたのは人の頭蓋骨だったのだ。振り払うようにそれを投げ棄て、声を上げないように両手で必死に口を抑える。出来る事なら悲鳴を上げて逃げ出したい。しかし、今見つかってはどうなるか解らないし、腰が砕けて立ち上がれそうにない。と、さっきまでガチャガチャ言っていた金属音が……鳴り止んだ。

『見付かった!?いや、でも、まさか……』

 一瞬そう考えただけで、脳裏に幾つもの嫌なイメージが脳内を駆け巡る。今更、見つかっても笑って許して貰える等という思考は存在しなかった。バレてない、バレてない……と何度も自分に言い聞かせ、心臓の音も漏らすまいと胸の辺りをギュッと抑える。ここまで来て加賀に去来したのは……後悔。

 帰り道も最早定かではなく、普段は頼りになって愛する存在である提督が、畏怖の存在へ
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