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俺の四畳半が最近安らげない件
死神の密度
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地同角』!!どんな良い画数も凶に叩き込む最悪の配置だ!!大凶姓名グランドスラム達成!!!
こ、こいつの親、画数とか全っ然調べなかったのかよ…!!だったら適当に『武』とか『勤』とかにしておけば面倒はなかったのに、クッソややこしい名前つけやがって!!個性の時代かよ、厭な世の中になったもんだな!!
「どうですか?」
自信たっぷりに覗き込んでくる原畝。頭を抱える俺。鎌をちろちろ振りながら『うっわ…』みたいな顔をして覗き込む死神。なんでお前がドン引きしてんだよ。お前これ知ってて憑いてんじゃないのか。
「う…その…芸術的センスが優れた方ですね…」
だっくだくに流れ落ちるワキ汗をこらえ、俺は原畝を曖昧に褒めて再び俯いた。
「ただ…ただねぇ…その…ちょっ…と、色々難しい問題を抱えそうな…えっと…あの…」
「ん?なーんかさっきから、何かをぼかされているような…」
勘だけは鋭いな!!さすが20画(大凶数)だな!!
「え?え?そんなことないですよ!?」
「んー…なにかこう、核心の部分をぼかされて、誤魔化されてませんか僕?」
「ちがうちがうちがう、そ、そんなことは」
「目が泳いでるし、全然こっち見ないし」
「あー、あー、さっきから云ってるけどちょっと難しくてね…あの、じゃ手相見ましょうね手相!オーソドックスに!!」
そう云って強引に手を取り、ルーペ越しに原畝の掌を覗き込んでみる。
「―――うっわぁ」
生命線と運命線が、くっきりとした短い線で断ち切られている…妨害線、俗に『死相』と呼ばれる線が出てしまっている。
………もう、なんか逆に笑いがこみ上げて来た。
「……やっばいねぇ、これ」
「え?よくない相ですか?」
「生命線に妨害線、入っちゃってるもん。くっくっく…姓名も稀に見る凶数だし、タロットは死神の正位置出るし…俺もう何て伝えればいいのか分かんねぇよもう…しかもあんたの背後……あ」
なげやりな気分で全てぶっちゃけてしまった瞬間、原畝の顔が泣きそうに歪んだ。
「お、俺…死ぬの…?」
大量の冷や汗が、安い背広をびっしょり濡らした。お、俺は客相手になんてことを…!!
「えっ…いやいや違うんだよ、ちょっと結果は悪いけどほら、救いもないこともなくてね。…ほら、金星丘が綺麗だし、親指の仏眼もしっかり出てますねぇ!これさぞかし、ご先祖の加護が強いでしょ」
「ご先祖……」
原畝がふと顔を上げた。
「そういや、昨年死んだ爺さんと俺、すごい仲良しだったんだよねぇ」
「そ、それだ!その爺さんが守ってくれるって!!」
爺さんが体張って死神から守ってくれるって落とし処で適当にお茶を濁そう。そしてこの不吉な客には見料置いてさっさと帰ってもらおう。
「懐かしいなぁ…結構な大地主でさ、仕事でやってるわけじゃないんだけど、畑を一枚持ってて。でも週1回くらい
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