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フルメタル・アクションヒーローズ
第190話 「二号ヒーロー」の影
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予算は『救済の超機龍』に迫る額ざます」

 なんと、まぁ。そんな秘密兵器があったとは。さらに鍛えた上に、「救済の超機龍」に迫るスペックの改修機か……。
 こいつは、思い通りには行かせてくれそうも――

「ちょっ――ちょっと待って! そんなの、聞かされてないわよ!?」

 ――というところで、目を剥いた救芽井が身を乗り出すように久水先輩に顔を近付ける。勢いのあまりキスしそうな体制で。
 自分が迫られてるわけでもないのに、気圧されてしまいそうな剣幕を放つ彼女だが――その気迫を真っ向から受け止めているはずの久水先輩は、至って澄まし顔。

「樋稟さんがご存知なはずありませんわ。だって、このプロジェクトはお兄様とワタクシ、そして甲侍郎様だけで話し合われて完成した企画ですもの」
「な、なんですって……お父様が!?」
「瀧上凱樹の一件で、龍太様の行動に危うさを覚えられた甲侍郎様の提案で、『救済の超機龍』を抑えられる『二号ヒーロー』を作る計画が始まっていましたの。あの四郷研究所の事件から、一ヶ月後のことですわ」
「そんな時期から……!? じゃあ梢先輩は……その頃からずっと、龍太君を止めるための開発計画に携わってたって言うの!?」
「――それも、全ては龍太様のため。このようなことのために、そのかけがえのない命を潰させないための『砦』を造るためですわ」

 詰め寄る救芽井に対し、久水先輩は淡々とした口調でいきさつを説明する。どうやら、俺が学校で補習に追われている間に、大人達の間できな臭い計画が進行中だったらしい。
 瀧上を助けようとしたことで、確かに一年前の俺は周りの大人達から散々な評価を受けた覚えがある。あんな奴は助けるな、助けるだけ無駄だ、と。
 そういう選別に慣れてしまうことへの恐ろしさが杞憂だとは、どうしても思えないのだがなぁ……。

「……梢。茂さんも、あなたも、甲侍郎さんも……龍太先輩のやること、そんなに許せないの……?」
「想うがゆえに、壁にならざるを得ない時もあるのですよ、鮎子。例え『超機龍の鉄馬』への改造があなた自身の望みだとしても、ワタクシは『生きて欲しい』と願う者として、そのやり方を認めるわけには参りません」

 親友からの追及に対し、先輩は僅かに熱の篭った言葉遣いで応えてみせる。こういう暑苦しい言葉を躊躇なく言い放つところもあれば、俺に隠れて『二号ヒーロー』なんてものに協力するところもある。
 熱血なのか、狡猾なのか。……どっちも、か?

「……わざわざ久水財閥の経営で忙しい茂さんを、その対『救済の超機龍』用の『二号ヒーロー』とやらに任命するとはな。甲侍郎さんも、なかなかえげつない真似をしなさる」
「水面下で進んでいた計画に感づいて、参加したいと飛び込んできたのはお兄様の方ですわ。あなた様の暴走を止め
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