暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第184話 温もりと拳骨
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し、その「錯覚」に浸る暇も与えず、彼は再びこちらに背を向けてしまった。どうやら、そろそろ彼も隣町に向かうつもりらしい。
 そんな武章さ――おやっさんの背には、目に見える分以上の「父親」としての逞しさが伺えた。なぜ呼び名を指定されたのかはイマイチわからなかったが――彼との距離が縮まったような気がして、なんだか照れ臭い。疎遠になっていた父に甘えてしまった時の感覚に、近いものがあった。

「……一発殴った以上、認めてやらにゃ男やないけんのぉ。賀織のこと、泣かせよったら承知せんでぇ……」
「え? 今なんて……」
「だぁーやかましい! 人の呟きにいちいち聞き耳立てんなや、女々しい奴やのぉ!」
「え、えぇえぇ!?」

 だから、なのだろうか。彼の一挙一動を気にかけてしまい、当の本人に反発されてしまうのは。
 そんな照れ臭くも、どこか暖かい時間を少しだけ延長し、俺達は別々の道へ進んで行く。

 おやっさんは、町の皆が待つ隣町へ。そして俺は、着鎧甲冑部の皆が待つ別の病室へ。
 そして、そこへ赴く俺の足取りは、兄貴の病室を出た時よりも少しだけ――ほんの少しだけ、軽いものになっていた。

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