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フルメタル・アクションヒーローズ
第161話 盟友は社長様
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だという。彼が着鎧甲冑を作ろうと思い立ったのも、それがきっかけだったそうだ。
 そんな彼にとっては、やはり「家族」という響きには特別な想いがあるのだろう。俺の都合を優先してくれたのも、それゆえの心遣いなのかもしれない。

「ところで――だ」

 すると、そこで甲侍郎さんの声色が急に重々しくなり……こちらへ振り返った時には、やけに鋭い目付きに変わっていた。

「娘とは、最近はどうなのかね?」
「え? きゅ、救芽井と?」
「……まだファーストネームすら呼んでいないのか。君は他の女性に対しても基本的にはそうらしいが、そろそろレディの扱いに慣れてきてもいいのではないかな? 樋稟はああ見えて繊細な娘だ。そろそろ君に会いたがってそわそわし始める頃だろう」
「あ、あはは。わかってるって。このあと、ちゃんと会いに行くよ」
「たまに私は思うのだが……君は娘以外にも気にかける娘がたくさんいるのではないかね? 力のある男の一つの生き方として、愛人や妾を囲うこともあるにはあるのかも知れんが――娘を蔑ろにするようなことだけは、君といえど許容するわけにはいかんな」
「イ、イエッサー……」

 獲物を射止める狩人のような、刺々しい視線。世界中の注目と称賛を集める救芽井エレクトロニクスの社長というだけあって、その威圧感は計り知れないものがあった。
 ――そう。俺は彼の娘、救芽井樋稟の婚約者ということになっているのだ。ほぼ一方的な形ではあるが。

 三年前、救芽井家の危機を救った俺は、娘の裸を見た件について甲侍郎さんに散々詰め寄られ、責任を取るように脅されたのである。
 一年前に起きた「ある事件」以来は負い目を感じているのか、そこまで結婚を迫るようなことは言わなくなってきているが――やはり娘が心配なのか、度々こうして俺の監視のために来日してくるのだ。

 彼の都合に合わせてスケジュールを何度も組み直している、アメリカ本社の方々の苦労は察するに余りある。ここ、日本支社の社員や幹部達も、いきなりトップに来日されて大騒ぎだったらしいしな。
 ――ま、俺が原因なんだけどね。全世界の救芽井エレクトロニクス関係者の皆様、ごめんちゃい。

「……まぁ、君も樋稟もまだ若い。様々な経験を重ね、将来を見定めるのも悪くはないだろう。とにかく、今回はご苦労だった。まさか合格が確定した夜に、正式な資格者としてのデビューを果たすことになろうとはな」
「はは、俺も驚いてるよ。ゴールデンウイークを全部潰して東京に来て試験を受けて、無事に合格して『明日帰るぜー』ってところで、夜中にフラヴィさんに叩き起こされたんだもんな」

 高校三年になった俺は着鎧甲冑の試験を受けるべく、仲間達と共にゴールデンウイークを利用し、この東京に設立されている救芽井エレクトロニクスの日本支社に赴い
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