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ラピス、母よりも強く愛して
15連続爆破テロリスト、イネスフレサンジュ逮捕
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 空港でのテロの翌日、アキトの学校でも生徒達の話題は、その一つしかなかった。
 ウィンドウを奪い合い、複写し、同じ情報が拡散されて行く。通常なら報道管制が敷かれて絶対に報道されない、取材など許されるはずのない事件。それがネットには写真や動画が溢れ、現地からの速報や自動兵器の残骸、未だに立ち上る煙、閉鎖されたはずの空港から、テレビ報道までされてネットに流れていた。
 勿論それは、メディア関係者が素っ破抜いた訳ではなく、世界の支配者からアキトが行った成果を宣伝するために情報漏洩されていたためである。

「すげえっ! またやりやがった。反政府軍最高っ!」
「また「太陽の牙」の仕業なんだろ? カッケー」
 昨日投石に行って、小石を何個当てた、という愚かな成果を語り合っていたクラスメイトも、正体不明のテロ組織が行った破壊活動を見て興奮していた。
 その名称は公式発表ではないが、勝手に名乗った組織の名称で呼ばれ始め、次第に定着していた。
 平和が好きな女子からは嫌悪されたが、アイのように血の気が多い女子も、男子と同じように、地球人の惨めな敗北を楽しんでいた。
「ええ、新しい自動兵器ってのは罠だったのよ、もう配備されてて空港全部が囮で罠、こうして包囲された後で、ここから脱出したって訳」
 地図を示して地球、火星政府の機体数も出して説明オバサンしている、アイことイネスフレサンジュ。
 自分の細胞のメンバーと話しているので多少油断はしていたものの、今までにも実行犯しか知り得ない秘密の暴露を何度かしていた。
 情報部が普通に仕事をしていれば、その噂、話の出処まで辿り着いて、簡単に逮捕されていたはずだが、世界の支配者が許さないのでアイは調子に乗って話し続けた。
「航空兵力まで全滅させられて、逃げた先も分からないなんて、政府軍もバカよね?」
 今回は、アキトがクラスでも学校でも仲間はずれになり始め、臆病者扱いされ、男の噂話で商店にも出禁、男の友達からも無視、女のクラスメイトからまで臆病者として笑われ始めたので、簡単な種明かしをするために、イネスの逮捕、拘束が実行された。

「やあ、イネスくん、この間の数学大会でも凄い成績だったね、校内でも表彰式があるから、ちょっと来て欲しいんだけど、いいかね」
「あ、はいっ、すぐ行きます」
 テロ実行犯しか持っていない地図と計画書を閉じて、教師の後に続くアイ。しかし教室の外では、スーツ姿の男性と黒服が数人待ち構えていた。
「イネス・フレサンジュさんですね? 政府庁舎の者です、貴方の数学的才能を、是非政府のために役立てて頂けないかと参ったのですが?」
「いえ、そういったお話は以前にもお断りしたはずです」
「そうですか、それでは仕方ありません」
 スーツ姿の男性と黒服は、ブラスターを出してアイに突き付け、
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