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ラピス、母よりも強く愛して
08アイちゃん
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ェルターにはいって…… ママはどこっ!」
 真っ青になって母親を探し始めるアイちゃん。
 本物はバッタに潰されて、潰れたトマトにされているか、チューリップが落ちてきて消し炭になっている。
「ちょっと待って、貴方のママは2195年にいるのよ、10年後の世界に」
 こんな6歳の子供は存在しないが、ラピスなので仕方ない。
「じゅうねん?」
 その後も、2185年の証拠を見せ続け、理解したくない現在の状況を、ゆっくりと幼い頭に擦り込んで行った。
「そんなの… うそ」
 このまま時間が進めば、10年後の世界で同じ戦争は起こらない。
 その時、自分達がどうするのか、どんな未来があるのか、末端のラピスは知らされていなかったが、取りあえずアイちゃんを送り込んで来たので、オモイカネ達が「製造」したか、正常に産まれたのだろうと納得する。
「私の家に来ない?」
 ラピスの誘いを断り、ふるふると首を振るアイちゃん。
「おうち、かえる」
「じゃあ貴方の家を探しましょうか、住所は?」
 ユリカに対する態度とは全く違い、目付きも話し方も、とても優しいラピス。
 以前の世界でアキトを苦しめていたユリカとは違い、何かと自分達の面倒を見てくれたイネスには、感謝の気持ちを込めて、望みを叶えてあげるつもりでいた。
「あっち」
「あるける?」
「うん」
 ベンチから起きたアイちゃんを支えながら、背中から砂を払ってやるアキト。
(あっ、やっぱりアキトって優しい(ポッ)でもその優しさは私の為だけに取っておいて)

 その光景を見て、また変な妄想を始めるラピス。
「歩ける?」
 アキトに引き起こされ、背中に付いた砂や芝を払って貰うラピス。
「ええ、でもまだ「足の間に何か挟まってる」みたい」
「まだ痛い?」
「少し、でもいいの、初めてがアキトとなんて嬉しい(ポッ)」
 こんな妄想をする6歳児はいないが、ラピスなので仕方がない。

 そして10年後とは景色の違う町並みを、目印を見失いながら歩いて行く一同。
「あれ? おみせがない?」
 数年後に建設される店は、まだ存在していなかったが、住所を知っているラピスは、迷いそうな時は正しい方向へ導いていた。
「こっち?」
「うん」
 もうすっかり「うるうる」して、泣き出す寸前のアイちゃん。
「泣かないで、貴方のママは、まだここにいないはずよ、おじいちゃんやお婆ちゃんの家は知ってる?」
「ううん」
「貴方が産まれるのは4年後、だから家が無くても怖がらないで」
 ユリカの場合は、2年遅れて産まれて来させたが、イネスの両親を10年以上前に産まれさせたり、10年前に出会わせ、十代前半の母親を火星に連れて来て、アイちゃんの受精卵を着床させるのは無理があった。
「あれ? このむこう」
「ごめんなさい
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