暁 〜小説投稿サイト〜
ラピス、母よりも強く愛して
02生産プラント
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 西暦0年、木星衛星軌道上にて。
『生産プラントとの接続に成功しました、彼も我々の到着を待っていたようです』
 始動の鍵となる小さな衛星に接続しているユーチャリス。しばらくすると何も無い空間から、センサーや光学機器に巨大な物体が見え始めた。
『凍結が解除されます、これが木連も使用した生産プラント衛星です』
 数十年で巨大なチューリップや戦艦を、数限りなく生産できる衛星、それが今では開戦のニ千年以上前に起動された。
『プラントの活動が再開されます、何を生産しますか?』
 検討の結果、最初の目的はアキトの希望通り、月から火星に落ち延びた住民を保護し、火星への核攻撃を防ぐ事に決まった。
「まず避難用の船を用意する」
 人類の歴史に介入し、全ての戦争を回避する事もできたが、アキトの出生を妨げる行為は、全て禁止とした。
「木星周辺にも都市を造る。住居と食料の生産を… 内戦の難民と、当時の人口は?」
『不明です、地球側のデータは抹消され、混乱のため木連でも正確には把握していませんでした』
「そう、では可能な限り生産しよう」
 だが過去において、他の星系にも出荷していたプラントにとって「物には限度がある」と言う考えは通用しなかった。
『今後、月の独立派を救出して、木連側の死傷者が減れば、白鳥九十九、白鳥ユキナ、月臣元一郎などが出現しない可能性が高まります、よろしいですか?』
 少し考えただけで、ラピスはこう言った。
「出なければ作ればいい」
 やはりラピスは、アキト以外の人を、物や食料と同程度にしか認識していなかった。
『了解……』
 いつかこの認識を変えようと思うユーチャリス、しかし、これからラピス達が見る人類の歴史は、その考えを覆すような美しい物では無かった。

『食料製造プラントを生産しても、2100年まで必要ありません、凍結して保存しますか?』
 ゲームのような会話をしながら、木星周辺のマップで、シムシ*ィにハマっているラピスとユーチャリス、彼らは先程のジャンプで、少し壊れ始めていた。
「ええ、それと私が学習するまで、ナデシコ型と木連の船を元に、無人の戦闘艦の生産を。 機動兵器に関しても同様に、急ぐ必要はない、時間はたっぷりある」
 それを聞いたユーチャリスは、ある疑問を提示する。
『製造プラントや私も再生産は可能です、しかし現状では、貴方だけは再構築できません、我々に任務を課して未来にジャンプしますか? それとも人工知能に人格を移植して眠りますか?」
 ラピスは未来に行って、ユーチャリスが強引にネルガルに向かう事や、歴史が変わってアキトが生まれていない状態を恐れた。
「…私は色々な事を覚えないといけない、少し待って」
 冷静なラピスを感じ、少し安心するユーチャリス、そして自分のシュミレーションに、何者かの介入
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ