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フルメタル・アクションヒーローズ
第101話 救芽井の涙
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、沈痛な表情――すなわち、彼女の本当の顔が表面に出て来ていた。本人もそれを把握しているらしく、そんな表情を見せまいと目を伏せている。
 俺の脇腹の傷を気にするような発言を皮切りに、声も次第に消え入りそうな弱々しいものへと変わりつつあった。俺のことで悩んでいる……ってのは、脇腹の傷のことだったんだろうか。

 傷のことなら林の中で決着を付けられたと思ってたんだが……どうやら、彼女自身はまだ尾を引いているらしい。
 それくらい、救芽井にとっては重い問題なのだろうか……。

「……これは、元々私があなたに押し付けたことだし……」
「そんなの……! 俺はもうよそ者じゃないんだ、お前が気負いすることはないんだよ!」
「だって、私……何度もあなたを巻き込んで、何度もあなたを傷付けて……! もう、もう……!」
「きゅ、救芽井……」

 もう、我慢するだけの余裕もないのだろう。泣き腫らした跡の正体を明かすように、彼女は半泣きの声を上げるようになってしまった。

 ――俺の傷が、ここまでこの娘を追い詰めてたってことなんだろうか。

 確かに、「技術の解放を望む者達」との戦いも、このコンペティションも、救芽井との出会いがなければ関わることはなかっただろう。そのおかげで色々と大変な目に遭ったのも確かだ。
 ……しかし、その責任が彼女一人にあるだなんて言い出すほど、俺は鬼畜でもない。二年前のあの時、俺はそのことで思い切り後悔した。そして――変わろうとしたんだ。
 家族のためにとは言え、あんな勝ち目のない戦いに身を投じるほどに優しい彼女なら、自分が原因で他人を巻き込んだことに責任を感じるのもわかる。傷跡を残してしまったとなれば、なおさらだろう。
 あの後みんなで遊んでいる中でも、彼女は内心どこかで気に病んでいたのだろうか。

 ……なら、今度はきっと……俺が彼女を助けなくちゃいけないんだな。
 家族のため――そして、世界中の人命のために戦ってきた彼女を、見習うように。

「……バカだな。こんなの、なんてことないって何度も言ってるだろ」
「でも……でも……!」

 俺はそっと彼女の肩を抱き寄せ、この部屋のベッドに並んで腰掛けるように誘導した。こういう時はとりあえず座らせて、落ち着かせるのが一番だろう。たぶん。
 ベッドの上には、二年前に彼女が買っていた、二つウサギのぬいぐるみが置かれている。つがいのイメージであるというその片方には、僅かながら涙のシミが伺えた。あれは確か……オスの方だっけ。

「この傷は俺がバカやらかして付いたもんだし、あの時『戦う』って決めたのも、俺が勝手に決めたことだ。お前が気にするようなことじゃないんだよ」
「だけどっ! 人の命を救うのが私の役目なのに、あなたも守るって決めた後だったのに……! もし万が一
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