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フルメタル・アクションヒーローズ
第95話 「罪」の片鱗
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は、いつも例のお掃除ロボだ。
 ……四郷は、こんなに機械に囲まれた辺境で、どのくらいの時間を過ごしてきたのだろうか。機械の相手ばかりをしていて、人間の友達を作るきっかけがなかったってんなら、あの性格にも多少は納得……できるかな。
 つか、あの娘ってちゃんと学校通ってるのか? どう見ても見てくれは義務教育の真っ只中だったし――

「貴様、本気で言っているのか!」

 ――んっ!? なんか今、声が聞こえたような……?
 俺の耳に、不意に突き刺さる人の声。何を言っているのかはまるでわからなかったが――なんなんだろう、この胸騒ぎは……。
 怖いもの見たさなのか、単純な好奇心なのか。俺は食堂へ続く廊下を目前にして、進路を声がした方向へと転換した。

「オレの正義は、いつの世も人々の危機を守ってきた。それは揺るぎのない絶対のものだと、何度言わせる気だ! ――にも関わらず、それを捨てろだと!?」
「お前の正義を信じ、外の世界へと送り出したのは私の責任だ。だから、お前だけの罪だとは言わん。私と共に、過去を清算する時が来た、ということだ」
「いい加減にしろ! それが……それが、松霧町が生んだ最高のヒーローへ向ける言葉か!?」
「瀧上。お前の時代は、もう終わったのだ。あの日、警官隊の銃弾に晒された時、わからなかったのか? 私もお前も、もはや物語の主人公には成り得ない。そろそろ、舞台から降りる頃合いだ」

 声が聞こえた方向だけを頼りに、俺は照明の付いた廊下を渡る。次第に聞こえて来る声も音量を増し、内容も僅かながら鮮明になってきた。
 どうやら――これは誰かの「話し声」らしい。二つの声色が、鎬を削るように交互に響いて来る。特に、片方の声量は物凄い。何を言っているのかは正直わからないが、それとなくビリビリと響く何かを感じるのだ。

「……だから、このコンペティションが終わればオレに『自首』しろと!? 貴様ここまで来ておいて、よくもぬけぬけと!」
「これは、私にできる最大限の『譲歩』だ。今の日本にとって、お前ほど危険な存在はない。救芽井エレクトロニクスの海外進出を契機に、日米関係を良好に保ちつつ国際的にも有利な立ち位置を得ようという、今の時世では特に、な。今の政権はお前の存在を把握してはいないが、かつて私の直属にいた者達は、今すぐにでもお前を消そうと躍起になっている。自分達のメンツを守るために」
「裏切り者共め……!」
「――だが、心配はいらん。コンペティションが終わった後、投降を約束するならば、死刑だけは免れるように私が取り計らおう。『救芽井研究所の元研究員』が作り出したという、一定の記憶を消去できるシステムも、救芽井エレクトロニクスから買い取ってある。全てを忘れて、この時代に相応しい『正義の味方』を、一から模索してみてはどうかな?」


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