暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第60話 必要悪 〜アステマ〜
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動服の上に、ふくらはぎまで届くほどのマントを纏っている。しかも、西洋騎士の兜みたいなマスクまで被っていた。
 何より怪しいのは、その全部が真っ白な塗装で統一されていることだろう。見るからに変態だな……。

 だが、さっきのおばちゃんの話を聞く限りでは、まともな奴じゃなさそうだぞ……!

「おばちゃんを踏切に放り込んだって奴……なのか? どうしてそんなこと!」
「君を試す必要があってね。大丈夫だよ、いざという時は僕が自分で助けるつもりだったからさ」

 白装束の野郎は、おびれることなくヒラヒラと手を振る。「そんなキレんなよ」とでもいいたげな口調だな。

 ……何が「大丈夫だよ」だ! こっちは危うく、それで試される前に死ぬところだったんだぞ!
 ――いや、それより、試すってどういうことなんだ!?

「あんた、一体何者なんだ!?」
「うーん……そうだねぇ。役割に基づいたあだ名を付けるなら、『必要悪(アステマ)』ってところかな?」

 なんだそりゃ。本名を名乗る気はゼロってか。まぁ、そんなナリで本名とか名乗られても、格好がつかないとは思うけど。
 ……それにしても、この喋り方、どっかで聞いた覚えがあるんだよなぁ。こんな声は初めて聞いたけど。

「『救済の超機龍』……。初めて見たけど、聞いた以上のポテンシャルだねぇ、『龍太君』。これなら、きっと『安心』だ」
「――!? あんた、なんでコレのことを!? しかも、俺の名前まで!」
「そのうち教えてあげるよ。『果報は寝て待て』って言うでしょ? それじゃ!」

 ――なぜか俺と「救済の超機龍」の名前を知っていた「必要悪」とやらは、普通の人間では考えられない跳躍力で、家屋の屋根に登ってしまった。

「ま、待てっ!」
「君はずいぶん疲れてるんだろう? 動きを見ればわかる。今日は早く帰って、ぐっすり寝た方がいい。またいずれ、会うだろうしね!」

 しばらく俺を見下ろしていた「必要悪」は、妙に親しげなことを言いながら、俺がやったように屋根から屋根へ飛び移りながら去っていく。

「待てって言ってんだ――あぐっ!?」

 奴が言っていた通り、バテバテになっていた俺はそれ以上追うこともできず、力尽きて膝をついてしまった。

「……願わくば、二度と会わないほうがいいんだけど、な……。そうだろ? 和雅さん」

 ――そんな「必要悪」の一言など、知るよしもなく。

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