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週刊東方「結晶回廊」
参「詐欺」
[前書き]

[8]前話 [1]本文
風が瓦屋根をめくりながら荒々しく吹き、雨が機関銃の如く降り続ける中、泣き叫ぶ赤子がいた。軽く包まれたタオルを纏い、ダンボールの中から。それはまさに絶叫と言えた。何かを伝えたくとも、言語という手段も、それを行使する能力も修得していない彼には絶望的な状況なのは言わずもがな。
そして、嵐が過ぎるまで誰一人として振り向きすらしなかったのだ。
……しかし、彼はそれすらも乗り越えて、太陽の訪れを喜んだのである。そしてその後、心優しい夫婦が彼を安寧の地へと運び、それからというもの、すくすくとたくましく成長していった。
そうして幸福な時間が過ぎていったのだった。

あの事件が起こるまでは。




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