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夢幻水滸伝
第三十四話 博多と大宰府その七
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「絶対に」
「そこはちゃうな」
「お互いに」
「しかしこっちの要求を通してもらうで」
「我儘な話でごわすな」
「結局人間は誰でもそうや」
「我儘でごわすか」
「そや、大なり小なりな」
 そうしたものだとだ、芥川は自分のその人間観も話した。
「自我って言うかも知れんけどな」
「その自我と自我のぶつかりこそがでごわすな」
「人間の社会やとな」
「それは常でごわすな」
「そやからや」
 それ故にというのだ。
「僕もそこは仕方ないと思ってる」
「戦ってお互いに納得する、でごわすな」
「それしかないわ、そしてやな」
「だからでごわす」
「自分等もまだ戦うか」
「壇ノ浦とここの借りは返すでごわすよ」
「わかった、ほなな」
 それならとだ、芥川も返してだった。
 北原に今度は火球の術を放った、だがそれも金棒で防がれた。北原の守りはこの時も健在であった。
 気付けば九州の軍勢は既にかなりの数が撤退に成功している、ここで後詰をしていた精兵達が北原に言ってきた。
「棟梁、後は我々だけです」
「傷付いた兵達も逃がしたたい」
「では後はでごわすな」
「おい達が」
「わかったでごわす」 
 北原は兵達にすぐに応えた、そして即座に彼等に告げた。
「おい達も撤退するでごわす」
「はい、それでは」
「おい達も」
「撤退でごわす」
 北原は言いつつ金棒をあちらの世界の野球のバットの様に派手に振り回しだした、そうして多くの竜巻を出してだった。
 対する芥川だけでなく関西の軍勢に次々と放ってだった。それを足止めにし。
 後詰を務めていた軍勢と共に戦場を離脱した、九州の軍勢はそのまま日向の方に退き戦はおわった。
 彼等が完全に撤退したのを見てだ、中里は芥川のところに来て言った。
「勝ち鬨を挙げてやな」
「そや、それから博多と大宰府に入るで」
「わかったわ、そして福岡城にもな」
「入るで」
「えらく立派な天守閣やな」
 中里は福岡城の五層七階の黒い天守を見てこう言った。
「流石に大阪城とか姫路城には負けるか?」
「それは主観やろ」
「あの天守はあの天守でか」
「ええもんや、まあ僕もどうしてもな」
「大阪城とか姫路城の方がやな」
「ええと思うけどな」
 自分達の領土にある城の方がというのだ。
「北ノ庄城のもな」
「越前のあそこやな」
「それに安土城もな」
 この城の名前も出した。
「ええけどな」
「それでもやな」
「結局どの天守閣が一番かっていうのは」
「主観やな」
「自我で言う言葉や」
 北原に言ったことをここでも言った、言いつつ彼とのやり取りが途中で終わったのを残念にも思った。
「それや」
「そうなるか」
「そや、それとな」
「それと?」
「あの城も使うで」
 芥川
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