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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
正義の執行 A
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さてこの状況、正しいのはどちらだと考えるのか。

今この状況を見ている方々の多くは、ノーネームであると答えるのではないだろうか。なぜならば、レティシアは既にその罪を雪ぐだけの働きを見せている。その命だって何度危険にさらされたことだろうか。
間違いなく、彼女は彼女自身の手で奪った以上の命を救済している。

だがしかし、ユースティティアの主張もまた正しいものだ。もしかすると、こちらと答える人も少なからずいるかもしれないほどに。
なにせ、彼女は自身の犯した罪に対して何一つ償っていない。その罪以上の功績を残したというだけで、罪そのものへ向き合っていないのだ。彼女が自身へ禊と定めたものも自分の理と重なるもの。そんなものが果たして、禊となるのだろうか。答えは単純、コミュニティ“ノーネーム”への禊とはなっても、罪への禊とはなりえない。
間違いなく、彼女は彼女自身の罪を何一つ償っていない。

故にこそ、少年たちは反抗する。自らの同士を守るため、己の信じた正義のために。
故にこそ、女神は執行する。自らを縛る法によって、箱庭から破滅の可能性を摘み取るため。

さて、それでは―――



 ========



剣の刃を向けて盾とした女神に対し、十六夜は一切の躊躇いなく拳を叩きつける。普通であれば拳から裂けていくはずの場面。しかし、十六夜の体は普通ではない。

「おや・・・」
「吹っ飛べ、クソ女神!」

その様子に首を傾げた女神を気にも留めず、剣との接点を軸にして足を叩きつける。こらえきれるものではなく、しかし部屋から叩きだされた時ほど飛ぶことはなかった。だからといって安全だったわけではなく、

「見よう見まね、空木倒!」

回りこんだ耀が木の葉天狗を具現し、こちらも蹴りを放つ。何かをする暇を与えず、確実に敵を削ぐ。当然の策・・・だが。

「なるほど、分かりました(・・・・・・)

女神はそれを、なんでもないものとして切り捨てる。身に宿る不死のギフトは与えられた傷を修復し、元より保有する分析のギフトを持って何が行われたのかを理解した。対処法を検討し、剣を構えて十六夜へ向かう。

「罪状の特定、師匠殺し。これより執行します」

呟かれたのは、ヘラクレスの持つ罪状の一つ。そして放たれた剣の一撃は、防ぐために構えた十六夜の腕へ吸い込まれるように進み・・・薄皮を一枚割いて、止まった。
さすがに、本人の罪でないと絶対の能力は得ないらしい。しかしギフトを限定的に無効化するくらいのことはできるのだから、警戒しなければならない。そうしこうしている間に、ユースティティアは萎縮返しとばかりに十六夜を蹴り飛ばす。試してはみたものの通じないのならやる意味は無い。無力化するために肉弾戦を開始する。
知に足をついて急停止をか
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