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バナナ&ピーチ
第五章
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「僕も読んだけれどね」
「素晴らしい作品だね」
「我が国は恋愛ものは弱いってイメージがあるから」 
 中国といえば水滸伝や封神演義やそうしたもののイメージが強いだろう。袁は考えながらこう述べたのである。
「それでもね」
「紅楼夢もあるんだね」
「そうした恋愛ものもあるからね」
「成程ね。そういえば色々なジャンルの作品があるね」
「あるよ。けれどそれは」
 袁は微笑みのままオークリッドにまた言う。
「アメリカもね」
「僕の国もだっていうんだね」
「色々なジャンルの名作があるね」
「うん。恋愛ものの他にもね」
 それこそだというのだ。
「色々とあるよ」
「文学も豊富だね」
「そうさ。アメリカ人はね」
 彼等はどうかというのだ。
「いいものはいいと認めるよ」
「例え他の国のものであっても」
「自分の国のものもだけれどね」
 それと同時にだというのだ。
「認めるよ」
「そうだね。けれどそれはね」
「君の国もだね」
「伊達に今まで国がある訳じゃないよ」
 四千年も前からだというのだ。
「他の国のいいところは認めないとね」
「駄目だね」
「そうさ。そうしたことができない国、そして人はね」
「延びないよ」 
 それまでだというのだ。
「それで終わりだよ」
「そう、本当にね」
 こうした話をする。そしてだった。  
 二人はお互いに笑みを浮かべ合い同時にある本を開いた。その本は何かというと。
「しかし。この作品はちょっとね」
「難解だね」
「噂には聞いていたけれどね」
「予想以上だよ」
 源氏物語だった。古文のままのその文章を見ながら話すのだった。
「文章は難しいし」
「しかも長いからね」
「登場人物もかなり多い」
「かなり前に出ていた登場人物が思い出したみたいに出て来て」
「場面変換も多いね」
「感情描写もあって」
 作者である紫式部の性格がよく出ていると言われている。源氏物語はかなり長いがそれでいて緻密なのだ。そして文章もそれぞれが長いのだ。
 それ故に難解な作品と言われている。二人は作品を検証しながら言っていく。
「けれど。素晴らしい作品だよ本当に」
「だからこそね」
 学んでいこうというのだった。素晴らしさを認めているが故に。
 そうした彼等を見て周りの他国の留学生達は彼等だけでこう話した。
「ああしたところがあるからだね」
「他の国のいいところは素直に認められる」
「ただ力があるだけじゃないからね」
「大国になれるんだね」
 力があるだけでは限度があるというのだ。
「他国、他人を認められる」
「それは確かにいいところだよ」

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