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大阪の一反木綿
第三章

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 二人でまずは住吉大社に行った、そこで出店のものをふんだんに食べてお願いをしてくじも引いた。絵馬に願いごとを書いて御守りや破魔矢も買ってだった。
 住吉大社から家に帰るまでにこれはという神社に寄った、家に帰る時はもう夜になっていたがナターシャは上機嫌だった。
「凄く楽しかったです」
「それは何よりだよ」
 裕介は自分の隣でにこにこしているナターシャに自分も笑顔で答えた。
「僕もね」
「楽しかったですね」
「とてもね。ただね」
「ただ?」
「いや、ナターシャお酒は」
「内緒です」 
 このことは苦笑いで答えたナターシャだった。
「未成年ですので」
「だよね」
「はい、甘酒はよかったですね」
「けれど御神酒はね」
 新年のそれはだった。
「実は、だよね」
「ここは日本ですから」
「ロシアではどうなのかな」
「多少以上には」
 未成年でもというのだ。
「大目にといいますか」
「許してもらえるんだ」
「お酒の国なので」
「ウォッカだよね」
「それに寒いですから」
 何といってもこのことからだった。
「あちらではです」
「いいんだね」
「はい、ただ」
「日本酒はないよね」
「お米自体がないですから」
 ロシアの主食はパンである、ジャガイモも多い。気候の関係で日本の様に米がふんだんに食べられる筈がない。
「ですから」
「それでだよね」
「日本酒もないです」
「ウォッカだね」
「ビールやワインもありますけれど」
 それでもだった。
「日本酒は新鮮でした」
「味はどうだったかな」
 裕介はナターシャに日本酒、御神酒のそれの味も聞いた。元旦の夜道は寒いが食べて飲んでなので二人共それ程そうは感じていなかった。
「それで」
「美味しかったといいますか」
「いいますか?」
「不思議な味がしました」
「ロシアにはない味だね」
「ですから」 
 まさにそれでというのだ。
「不思議に思いました」
「そうだったんだ」
「はい、日本酒ははじめて飲みましたけれど」
「あれっ、お酒は」
 ここで裕介は勘違いをしてナターシャに言った。
「うちでも結構飲んでるじゃない」
「裕介さんやパーパさんとですね」
「そうだったじゃない」
「あれは焼酎じゃないですか」
 にこりと笑ってだ、ナターシャは裕介に答えた。
「日本酒ではないですよ」
「あっ、そうだったね」 
 言われて裕介もここで自分の勘違いに気付いた。
「うちで飲んだのは焼酎だったね」
「あれは薩摩芋から造りますね」
「そうだよ」
 その通りだとだ、裕介はナターシャに答えた。
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