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歌集「冬寂月」

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 冬風に

  生くるよすがも

   なかりける

 枯れたる花は

    朽ちて還らじ



 冬の凍てつく風は、生きるに何の助けにもならない…。

 歳をとり…寂しさに振り返れど、そこには何もなく…。

 花は枯れれば枯れたままに…私もまた老いてゆき、虚しく消え逝くのだろう…。

 一体…私が消えた後には、何が残るだろうか…。



 思ひ侘び

  仰ぎし星の

    ため息に

 こゝろ痛みて

   小夜そ眺むる



 寂しさに想わずにはいられず…振り切るように星空を見上げれば、星々の瞬きがまるでため息をついているようで…。

 そう簡単に忘れることが出来るのならば…こんなに胸が痛むこともあるまい…。


 夜更けの風景は…眺めれば眺めるほどに寂しさを募らせ…私もため息をついた…。




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