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梅の思い出
第二章
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「それが」
「違うといいますと」
「うん、何か平安時代の服装でね」
「昔のですか」
「そしてね」 
 宮司は梅太郎に怪訝な顔のままさらに話した。
「子供だね」
「昔の服を着た」
「そう、品のよさそうなね」
「今の時代の服ではないとは」
「気になるね、梅太郎さんにしても」
「はい、どなたでしょうか」
「その人が貴方に会いたいって言ってきてるから」
 宮司は梅太郎にさらに話した。
「会うかな」
「はい、それでは」
 梅太郎は宮司の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼はその来客と会うことにした、そうしてその者に会う為に客室に入るとそこにいたのは。
 平安時代の身分の高い者の服を着た子供だった、公家風のその子供の顔を見て梅太郎は飛び上がらんばかりに驚いた。
「貴方は・・・・・・」
「久しいな、梅太郎殿」
 子供は自分を見て驚く梅太郎に優しい笑顔で声をかけた。
「元気そうで何よりだ」
「こちらの世界に来られたのですか」
「左様、そなたが随分と私のことを話していると聞いてな」
「それで、ですか」
「会いに来たのだ」
「そうだったのですか」
「まあ座ってな」
 そのうえでとだ、子供は梅太郎に彼から話した。
「ゆっくりと話そう」
「それでは」
 梅太郎も頷いた、そうしてだった。
 梅太郎は子供と向かい合って座ってお茶とお菓子を楽しみつつ話をはじめた、子供は梅太郎にこう言った。
「私は元気にしている」
「あちらの世界で」
「そうしている」
「そうですか」
「何も不自由していない」
「幸せにですか」
「暮らしている、ここにいた時は随分と色々とあったがな」
 それでもというのだ。
「今はだ」
「そうなのですか」
「だから安心するのだ、私のことを残念に思うこともな」
 このこともというのだ。
「ないからな」
「そのことをお話されにですか」
「ここに来たのだ、そなたが私のことを思ってくれるのは嬉しいが」
「残念に思ってですか」
「悲しい気持ちにはならないでくれ」
 このことを言うのだった。
「いいな」
「そうですか」
「くれぐれもな、本当に今の私は幸せだ」
「それは何よりです」
「だから安心してくれ、あちらは美味しいものもふんだんにあるしな」
「美味しいものもですか」
「馳走も酒もな、そして皆もいる」
 人の話もした。
「仲良くもしている、幸せで何の不自由もない」
「だからですね」
「私のことを思ってくれるのなら幸せなことを喜んでくれ」
「これからは」
「そうして欲しい、いいだろうか」
「はい」
 笑顔で答えた梅太郎だった。
「これからは」
「その様にな、しかしこちらの菓子も美味いな」
 子供は今度はそちらの話もした。
「私はこちらにいた時は菓子な
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