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ハイスクールD×D 聖なる槍と霊滅の刃
第一部 出会い
始まりの日
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やら髪を乾かすという思考はないようで、鬱陶しそうに黒髪を揺らすだけ。

「そのままでは風邪をひく」

曹操がドライヤーを四織に渡すが、首を傾げられる。

「…何、これ?」

「髪を乾かすものだが……もしかして、使ったことがないのか?」

無言でコクリと頷く四織。そう言えば、四織の部屋には風呂があったがほとんど使われた形跡がなかったなと曹操は思い返す。

「……髪って自然に乾かすものじゃないのかな?」

「男ならそういう風に考えるだろうが君は男じゃないんだ。少しは気を使う事を覚えてくれ」

使い方を教えてやると、要領を得ない顔をしながらも不器用に髪を乾かし始める。
その様子を見守っている曹操としては、どうやらまだまだ教えなければならないことが多そうだとため息をつきたい気分だった。

「…こんな感じ?」

「ああ、違う違う。そのやり方ではここが乾いていない。貸してくれ」

ドライヤーを取りあげ、乾いていない部分に熱風を当ててやる。
あらかた乾いたところではっと曹操は自分の行動の奇妙な点に気が付く。
なぜ自分は、出会ったばかりの少女に対してこんな保護者のようなことをしているのだろう。

「そ、それはともかく。そこに君の新しい服を用意しておいたから、着替えるといい」

ベッドの上に置いておいた着替えを指差す。そこには黒を基調にした女物の衣服が一式おいてあった。曹操が昨日、買ってきておいたものだ。
それを見た四織は自分のワンピースに手をかけ……躊躇なく脱ぎ捨てた。
曹操の目の前に10歳前後の見た目にしては発育のいい曲線、華奢な体の線が露わに―――

「……待て!?何をしている!?」

「? 着替えるだけ」

「羞恥心というものがないのか君は!?」

まさか自分の目の前で躊躇なく着替え始めるなど予想外だった。
だが次に発しようとした言葉は音にならず消える。
曹操の視線の先にある四織の肌は――――無事な箇所を探すのが難しいぐらいの傷跡や痣に覆われていた。
彼女はそれを隠すでもなく、ただそこにあるものとして扱っている。
四織としては、家で定期的に執り行われていた「調整」のために服を脱ぐことなど珍しくもなかったうえに、誰も四織の体になど興味を示さなかった。
たとえ傷だらけであろうとも、できたばかりの痣が散乱していようとも。生命活動さえしていれば誰も興味を示さなかった。
そのため羞恥心などというものは皆無に等しいのだが……残念ながらそこまでは曹操も知る由はなかった。

「と、とにかく早く着替えてくれ」

言われるがままに上着を着込み、ズボンに足を通す。曹操はその間後ろを向いていた。
動きやすい黒の上衣とハーフパンツ。まあ、無難なところだろう。
特におしゃれではない四織は文句を言
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