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歌集「冬寂月」

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 落つる日を

  追ふは虚しき

   夕月夜

 野辺の風さへ

   つれなかりけり



 落ちてゆく太陽を、まるで追うような夕月夜…。

 どれだけ追い掛けようと決して追い付くことはないのだ…。

 そう思うとあまりに虚しく…そんな私に、野原に吹く風はよそよそしく…。


 私もまた、あの人の影を追っているのかと思え…虚しくため息をつくほかなかった…。



 音もなく

  ため息つかば

   朝を見ず

 思ふがゆゑの

    命ともがな



 しんと静まり返る夜更け…そっとため息を洩らす…。

 あの人を忘れようとするほど…どうしても心はあの人を想い…。

 胸の痛みに…もう明日と言う日を棄てても良いと思ってしまう…。

 だが…こうして思ってしまうことさえ、命なのだと…生きている証なのだと…そうも思える…。


 生きるとは…とかく苦痛を伴うものなのだな…。




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