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天使の歌声
第2話

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その美しい少年は、青空に吸い込まれそうな清らかな声で優しく歌い続けていました。どこか寂しげで、時々、涙を浮かべていました。

ルルは、なぜこんなに悲しそうなのか、彼をもっと知りたいと思いました。
すると瞬時に、彼が誕生してから今までの記憶が走馬灯のように見えてきました。

彼は、その町では割と裕福な家庭に生まれました。
彼は産まれた時から体が弱くて、あまり学校には通うことが出来ませんでした。そのかわり音楽家であった父の影響で歌を歌うことが好きになりました。
母は、それを快く思っていませんでした。彼が、歌を本格的に習いたいと言ったとき、体のことを言い訳にして取り合ってくれませんでした。
その時、父は家にいませんでした。演奏旅行で家にいないことの方が多かったのです。

母は、体も心も繊細で美しくて歌の才能を持つ息子を受け入れようとしませんでした。

彼にはふたつ下の妹がいて、歌も上手くないし、彼ほどの美しさも持ち合わせていませんでしたが、母は妹をとても可愛がり、何不自由なく幸せに暮らしていました。

彼が家の中で歌うと、母はたいそう機嫌が悪くなってわめき散らすので、彼は一時間近くかけて森の中に入っていき、そこで人知れず歌を歌うのでした。


ルルは、目の前の少年の孤独と、自分が天使界で抱いていた孤独が共鳴してわんわん泣きました。
森がざわざわ揺れて、たくさんの木の葉が舞い落ちていきました。

そして、泣いてる場合じゃないと気がつき、
彼が元気を取り戻して、人間界でその美しい歌声が響き渡って、人々に喜びと感動をもたらすの彼の真の姿で生きていくことがイメージできました。
彼の魂が願っていることが伝わってきたのです。


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