第十一話 決勝戦、見ます その1
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戦車道の聖地である東富士演習場では、第63回戦車道全国高校生大会の最後の試合……決勝戦を行うべく大洗女子学園と黒森峰女学園の戦車が集結、大洗女子、八両。対して黒森峰は二十両。計二十八両の戦車が対峙していた。
その光景を多くの戦車道ファン、メディア関係者、娘の晴れ姿を見に来た者や各学校の戦車道部員、戦車道連盟、などなどその他の多くの見物人が観客席にいた。
その中には知波単学園の制服を着ている少女たちもいた。
「やっぱり人多いね〜」
のんびりとした声で千冬は言った。左手には屋台で売っていたおやきが入った紙袋、右手にはお焼きがあった。
「そりゃ〜決勝戦すからね」
小百合も屋台で買った焼きそばを食べながら言った。
「祭りみたいだな〜あたいはこういう雰囲気好きだな〜」
「私も好きよ。こういうの」
多代もまた屋台で買った、たこ焼きを隣に居る莉乃と共に頬張りながら言った。
「いや〜やはりドイツ戦車は良いですな〜!大洗には三式中戦車、それに滅多にお目にかかれないポルシェティーガー!あんなレア戦車があるなんて羨ましいです!」
真依は観客席の前に置かれた大型スクリーンに映し出されている大洗、黒森峰の戦車を見てテンションがあがっていた。
「全く……何を浮かれているんだ……?我々は試合を見に来たんだぞ?」
ため息混じりに莞奈は言ったが右手には綿飴がしっかりと握られていた。
「試合を見ながら食べるんだよ〜」
莞奈の隣にいた靖香はフライドポテトを食べながらいつもの口調で言った。
それ以外の若菜と和佳子はカキ氷を、巴と朱音はフランクフルトを食べている。
「まぁ……今日ぐらい良いか」
いつもなら怒鳴りながら『真面目にやれ』と言う莞奈だったが今日は機嫌が良いのか怒ることもせずそのままでいた。
「かっちゃん、何かあったの〜?」
「いや特に何もなかったが、どうした?」
「何か機嫌が良さそうだな〜って思ったの」
「そう見えるか?」
「うん!見えるよ〜」
「そうか……」
莞奈はそう言うと顔を下に向け黙りこんだ。しかし靖香にはしっかりと見えていた。
莞奈が顔を赤らめている姿が!
靖香はあえて何も言わなかった。言わなかったがものすごくいい笑顔で莞奈を見つめているだけだった。まるで見守るように。
ちなみに莞奈は甘い物が大好きである。
「千冬、来たわよ」
千冬たちが後ろを振り向くと、ノンナとノンナに肩車されたカチューシャが立っていた。
「以外に来るの遅かったね」
「うぐっ!?……ちょ、ちょっと用事があったのよ……」
「そっか」
そう一言いうと千冬は席から立ち上がり、カチューシャを見た
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