第16話 ハンガリー戦車哀史
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首相を兼務する『フューラー(国家指導者)』となって一党独裁政治を布いていた。
ゆえに右傾化が進んでいたハンガリーも、彼らに与することで自国の安全保障を得ようとする。
輸入ではタンケッテがやっとのハンガリー陸軍は一足飛びに国産へ進みたかったが、技術がそもそもなかったため、他国戦車のライセンス契約から始めることにした。
最初にスウェーデンのランスベルグ社からすでに旧式だったL60Bのライセンスを購入し、38M軽戦車Toldiとして少数生産していた。
実はこのときハンガリーの周辺の脅威はなくなりつつあった。チェコスロバキアは重工業地帯のチェコをドイツに併合されており、チェコ製戦車がハンガリーに攻めてくることはもはやない。
しかしハンガリーはドイツにV号戦車のライセンス契約を打診。ドイツはそれを拒否するも、そのかわりチェコで設計だけできていたLT35後継戦車、T21の設計図を渡す。
これはシェコダ社でハンガリー仕様に改設計され、ヴァイス・マンフレート社はこれを元に40M中戦車Tur?nを作るが、生産は遅々として進まなかった。
その間にナチスドイツはルーマニアを脅して、係争地のトランシルバニア地方をハンガリーに割譲させた。
ハンガリーはドイツに頭が上がらなくなった。
1941年6月、ドイツは「共犯者」ソ連と手を切り、ソ連側旧ポーランド領に侵攻する。
ドイツの衛星国と成り果てて、枢軸側に組み込まれた諸国もまた出兵を強要された。
このときハンガリー陸軍はドイツの装甲師団を範とした「機動軍団」を持っていたが、装備する戦車は前面装甲わずか13mm、装甲車しか倒せない36/M20o戦車砲装備のToldiが200両ほどだけだった。
200両あまりのToldiがブラウ作戦に加わり、ハンガリーから出撃する。
この頃にはもうBTやT-28のような旧式弱体の戦車は姿を消し、ゴーリキやニジニ・タギルで量産されつつあった当時の最新鋭戦車、T-34が千両単位で待ち構えていた。
この頃のドイツすら、T-34と一対一で戦える戦車を持っていなかった。
スターリングラード目指して進撃するドイツ南方軍集団に加わったハンガリー第2軍。
ヒトラーは例によって前線の将軍を勝手に罷免して自ら指揮をとり、ブラウ作戦をバクー油田とスターリングラードへの二方面作戦に変更、ソ連軍はこの混乱に乗じて戦略的後退を図る。枢軸軍は何もない草原をただ走って物資と燃料を消費する。
ソ連軍はこの後退に当たっても焦土作戦を実行し、枢軸軍は徹底的に破壊された燃える油田を目の前にしながら燃料不足に陥る。
バクー油田の占領もチモシェンコ軍の撃滅も失敗したヒトラーは、メンツにかけて敵元首の名を冠した人口60万の都市、スターリングラードの占領に固執する。
スターリン
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