第一章
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隠し球
剛力将大は多彩な変化球を持つことで知られている、言うまでもなく武器はその多彩な変化球だ。
その彼の持ち球はというと。
「大小のカーブとだな」
「はい、スライダーと高速スライダ―、カットボールにです」
その剛力が親しい記者にボールをそれぞれの変化球で持ってみせながら話す。
「シュートも投げます」
「そちらもか」
「ツーシームも投げられますよ」
剛力は笑ってこの球種の持ち方も見せた。
「こうして」
「そうなんだな」
「はい、あとです」
剛力は今度は記者に指の間にボールを挟んで話した。
「これも」
「フォークだな」
「スプリットも投げられますしフォークは小さいのも投げられます」
その落ち方がというのだ。
「そちらも」
「フォークも二種類か」
「カーブと同じで」
「そういえばカーブはスローカーブも投げられたな」
「あと落ちるカーブも」
所謂ドロップである、昔はこう呼ばれていた球種だ。
「投げられますしね」
「君はそうだったな」
「それとです」
その丸い顔で話していく、身体は引き締まっていて筋肉質だ、身体全体特に利き腕である右腕が柔らかくそれで多彩な変化球も投げられるのだ。指も長い。
「シンカーも」
「そっちもだね」
「投げられます」
この球種もというのだ。
「それとパーム、チェンジアップ、サークルチェンジも」
「多いね」
「言うまでもなくストレートも」
基本中の基本は備えていた。
「投げられますから」
「凄いね、ただ」
「ただ？」
「君はナックルは投げないんだね」
記者は彼にこの球種はと話した。
「そちらは」
「ああ、ナックルですか」
「うん、そっちはね」
「あれはですね」
「投げる気はないのかな」
「オフレコで」
こう前置きしてだ、剛力は記者に話した。
「ノーコメントで、今は全然投げていませんし」
「ナックルについては」
「あれは難しいですからね」
それでというのだ。
「ですから」
「投げないんだね」
「今は落ちるスライダーの練習をしてます」
この球種のというのだ。
「これはオフレコじゃないです」
「そっちの球種はだね」
「はい、そちらも備えて」
落ちるスライダーもというのだ。
「もっと球種を増やしていって」
「多彩な変化球でだね」
「これからも頑張っていきます」
記者に笑って話した、そしてだった。
彼は実際に変化球投手として活躍し続けた、先発として毎年コンスタントに二桁の勝利数を挙げメジャーでもそうしている、それでだ。
彼は遂にワールドシリーズへの舞台にも立つことになった、彼はそのシリーズ前に日本から来た記者に笑顔で話した。
「僕は運がいいですよ」
「ワール
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