暁 〜小説投稿サイト〜
トンビに油揚げ
第五章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 カニンガンは自身の恋愛の進展を楽しく聞きつつ職務を遂行していきラブレターを書く時が来るのを待っていた。
 しかしだ、ある時だった。
 彼はクロムウェルに呼び出された、その連絡のメールの文章がやけに切羽詰まったものでグラッチスンにそれを見せて言った。
「これは何か」
「おかしいですね」
 グラッチスンもその文章を見て言う。
「何か」
「君もそう思うな」
「では、ですね」
「うむ、彼に会いに行こう」
「そうしましょう」
 こうしてだった、二人はクロムウェルの呼び出しに応じてだった。彼が来てくれと言った喫茶店、やはりティターニアとは違う店に二人で入ってだった。
 彼と話した、するとだった。
 その話を聞いてだ、カニンガンは手にしていたティーカップを思わず落としそうになり何とかそれを止めてからクロムウェルに問い返した。
「今何と」
「すいません、ですから」
「君がか」
「はい、彼女に告白されました」
 そうなったというのだ。
「これが」
「またどうしてだ」
「何かです、彼女に近くに結構いたら」
 それでというのだ。
「彼女が僕のことを好きになったらしくて」
「君を見ていてか」
「はい」
 そうしてというのだ。
「好きになってそして」
「彼女の方がか」
「告白されました、こうなってしまうと」
「この仕事はか」
「出来ないです、告白された人とのこうした仕事は」
 恋愛の仲介はというのだ。
「とても」
「そうだな」
「ですから申し訳ありません」
「これは」
 むしろカニンガンよりも冷静なグラッチスンもこの事態には呆然となってそのうえで言った。
「何というか」
「驚いたな」
「全く以て」
 こうカニンガンにも答えた。
「私も予想していませんでした」
「僕もですよ」
 クロムウェルも言ってきた。
「こんなことは、それで」
「仕事のことはか」
「どうされますか?」
「どうするも今君が言った」
 カニンガンは申し訳なさそうなクロムウェルに提督に相応しい鷹揚で毅然とした態度で答えた。
「もう仕事は出来ないとな」
「では」
「この話は終わろう」
「お金はお返しします」
「それはいい」
 依頼料とこれまでの仕事の費用はというのだ。
「それは払う」
「ですが」
「ことの成り行きはともかく私は君に仕事を依頼した」 
 恋愛の仲介、それをというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「払う、安心してくれ」
「そうですか」
「そうだ、気にするな」
「わかりました」
 こうしてだった、この話は終わりカニンガンはこれまでの金を払ってそうしてクロムウェルと別れた。そして。
 後日彼女の話を聞いてだ、こうグラッチスンに言った。
「彼女は彼と交際しているそうだ」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ