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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
辺境異聞 6
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談話室でおたがいに得た情報を交換し、これまでのことを整理することにした。

 地下で見つけた礼拝堂から察するにヨーグは死霊術師(ネクロマンサー)であり、暗黒神を崇拝しているダークプリーストでもある。
 彼には瓜二つの兄、ウンキがいた。
 ソティーはもともとウンキの婚約者であった。
 ソティーは死の寸前に精神に異常をきたしていた。
 ソティーはヨーグを憎み、去っていった愛しい人(ウンキ?)に助けを求めつつ死んだ。
 ソティーの死期はヘルギと一致しており、ふたりとも城内で行方不明になっている。
 ソティーとヘルギはヨーグによって暗黒神への生け贄にされた可能性が高い。

 すなわち、ヨーグはウンキを抹殺し、その地位と婚約者を奪った。そして彼は辺境伯の地位を利用して自分の研究を完成させ、邪魔になったソティーとヘルギを生け贄に吸血鬼になり、この地に君臨している。

 だがこの推理にはいくつか穴がある。なぜヨーグ伯がフーラを生かしておいたのか。不死の吸血鬼に後継者は必要ない。さらにウンキの死因。いやそれどころか存在そのものについても不明な点がある。
 存在があやしいというのならフーラもだ。地下室で見つけたボルツェル家の記録にも、ソティーの日記にも彼女の名は見あたらない。

「ヨーグだけじゃない。フーラもあやしい」
「戸籍上には存在しない『娘』か。それにいきなり一服盛ってくるあたり、まともな娘じゃないね、あやしさ大爆発だ」
「実はあの後もなんどか魅了の魔術を使ってきた」
「なんだって! とんでもないヤリマン糞ビッチじゃないか!」
「ヤリマンて……、もうちょっと淑女らしい言葉の選択はないのか」
「あんた、まんまと魅了されたんじゃないだろうね」
「それならこんな話するか」
「たしかにね」
「どうも俺たちは暇をもて余した有閑者たちの遊びにつきあわされている気がするなぁ」
「ヨーグとフーラはグルになって私らをおちょくっている。そういうことだね」
「そうだ。たんなる勘だがな」
「奇遇だね、私もそう考えていたんだよ。直感てのも軽視できないぞ、あれは意識では把握できない高速で処理されたデータともいえる」
「ただの探偵ごっこ、お家の秘密探しごっこにつき合わされただけならあとで参加費をちょうだいするだけだが、問題はやつらが人じゃないってことだ」

 ボルツェルとフーラをはじめとする城の住人は吸血鬼とその眷族。温室で発見した死体の状態と地下で見た邪悪の痕跡からその可能性が極めて高い。
 魔術によるものか薬物によるものか不明だが、負の生命力を隠すためなんらかの隠蔽手段をもちいていると思われる。住人らが不自然なほどおなじ気を帯びて。いるのはそのためだろう。

「芋と肉だけの食事にも飽きてきた、私は『空の骨休め亭』のミルクティーとスコ
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