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ママライブ!
第十話 聖夜
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『それでは新生徒会長、お願いします』



 全校集会で生徒が集まった講堂。先日行われた生徒会選挙によって新しい生徒会が発足した。

 全生徒が固唾を飲んで見守る中、進行役に呼ばれた新生徒会長が緊張した面持ちで舞台袖から出てきた。

 講堂全体が静寂に包まれる中、カツカツとローファーで歩く音だけが響き渡る。

 生徒会長は壇上の中央に辿り着き、そこにあるマイクを強く握った。



「皆さん、おはようございます! 新生徒会長の、織部輝穂です!」



 新生徒会長に選ばれたのは、音ノ木坂のアイドル。織部輝穂だった。




   *




「まさか、テルが生徒会長になるなんてね」

 全校集会が終わって、その日の昼休み。

 琴宮飛鳥は同じアイドルグループ“Lyra”のメンバー、織部輝穂、鷲見瑞姫と共に昼食を摂りながら会話に花を咲かせていた。

「本当にね。生徒会長に立候補するって聞いた時は驚いたわ」

 プチトマトを口に運びながら、瑞姫も話に混ざっていく。

 話題となっているのは今朝の全校集会。晴れて生徒会長となった輝穂なのだが……。

「それで最初の挨拶で盛大にやらかしたんだよね。テルらしいけど」
「先が思いやられるわ。輝穂らしいけど」

 それぞれ言いたい事を言う飛鳥と瑞姫。一方さっきから話題となっている輝穂は、机に突っ伏して黙っている。ただの屍のようだ。

「まさか最初の挨拶で詰まるなんてね。テルらしいけど」
「この学校、大丈夫なのかしら。まあそれもテルらしいけど」



「うがーっ! 2人とも、さっきから私らしい私らしいって何回言うの!」

 散々に言われて我慢ならず、輝穂は身体を起こした。

「あ、起きた」
「起きるよ! 私らしく起きるよ!」
「テルもノってきたね」
「ええ、輝穂らしいわね」
「もう瑞姫、それ言い過ぎ!」
「ごめんごめん」

 おちゃらけた様子で謝る瑞姫。その表情が一変して、真剣な顔つきで輝穂と向き合った。

「でも真面目な話、本当に輝穂で大丈夫なのかしら」
「確かに、テルが生徒会長って心配になるよね」

 瑞姫の言葉に飛鳥も概ね同意する。気分屋な輝穂の性格からして、生徒会の仕事を面倒くさがってやらない恐れがある。

 自身がそういう風に2人に心配されていると理解したのか、その事に輝穂は憤慨した。



「そんなに心配だって言うなら、みんなが楽しめるような物凄いイベントを考えてやるんだから!」



 飛鳥と瑞姫を指差し、輝穂はそう言葉を吐き捨てて教室を出て行った。おそらく生徒会室に向かったのだろう。


 残された飛鳥と瑞姫。微妙な空気が2人の間に流れる中、食べかけだ
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