ep7 the space's struggles (side B)
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中東アジアの砂漠地帯にある、GN粒子散布装置の群。これによる電波妨害で反国連勢力を分断するのが狙いだ。
だが、その区域を利用して、反国連の意志を掲げる者たちは隠れ処を作り、密かに活動を続けている。
クラウス・グラードもまた、その勢力に生きる男だった。元AEU軍のMSパイロットで、今は国連に仇なす者として戦っている。
基地はまだ作り出して間もなく、現時点で完成しているのはMS収容区画だけだった。まだまだ完成には遠い。
クラウスは自身の機体を見上げる。AEUイナクトとホバークラフト・サンドチャリオッド。砂漠での戦闘に特化した機体だ。
「国連のやり方はあまりにも強引だ。軍を1つにまとめるために各国の軍を掃討する。自分たち以外の存在を認めずに排除しようとしては、いずれ独裁的な軍が生まれてしまう。そんなやり方で世界がまとまるはずがない」
そのとき、クラウスは後ろから声をかけられた。振り向くと、偵察に出ていたジョージだった。
「何かあったのか?」
「ああ。さっきクウェートの方に国連軍のMS部隊が向かっていくのを見たんだ」
クラウスたちのいる基地から見て、クウェートは北東部に当たる。
クラウスはジョージの言葉が何を意味しているのかを察した。
「クウェートにある中継基地に国連軍が侵攻したかもしれないな」
「ああ。先を見越して基地から抜けた連中もいるらしいが……」
あの地域にはGN粒子散布装置がない。いずれは国連軍に潰される運命にあったのだ。それを理解していた者たちは基地を放棄しただろう。
だがその一方で、軍を追い払った戦果に溺れて基地でふんぞり返る連中もいた。彼らの戦力は確かにクラウスたちよりも上だが、擬似太陽炉搭載機からすれば容易く狩れる相手でしかない。
クラウスは少し考え、その場に仲間を集めた。
「私はクウェートの基地にいる同志たちを助けたいと考えている。みんなの意見を聞かせてほしい」
意見は賛成と反対がちょうど半分に分かれた。
同僚のシーリン・バフティヤールは反対の声を上げる。
「確かに仲間を助けたい気持ちはあるわ。けれど私たちはまだ万全じゃないし、今前に出ても国連軍に一掃されるだけじゃない?」
彼女の意見は最もだった。その言葉に頷く仲間もちらほらいる。
クラウスは彼らの賛否をまとめ、答えを出すことにした。
「分かった。こちらから増援を出すのは止めよう。だが、戦闘状況は偵察で確認しておきたい。国連軍の掃討作戦は基地の戦力を叩くだけで、人を拉致することはない。生き残った仲間をこちらで保護したいんだ」
その提案にシーリンたちは皆承諾する。クラウスは自身も強く頷き、すぐに準備に取り掛かった。
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