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東京レイヴンズ 今昔夜話
夜虎、翔ける! 4
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 膨大な霊気がほとばしった。

 気持ち良い――。

 木気の竜と化した平坂橘花の全身から霊気がとめどなく放出している。
 まるでダムが決壊でもしたかのように全方位にむけてほとばしる力はしかし、彼女自身を疲弊させることはなかった。
 だがその量と濃度は周囲にも彼女自身にも危険なレベルに達していた。
 木気は震。雷や風などの揺れて伝わるものがあてはまる。平坂の放つ霊気は稲妻や暴風と化して地上に降りそそいでいた。
 東京でも滅多に発生しないフェーズ4に相当する霊災だ。

(まるでいつか観た夢みたい……)

 怪獣になって街を破壊する夢。子どもの頃に観た夢とおなじ状況が、いま現実のものとなっているのだ。
 高濃度の霊気にあてられ酩酊状態になった平坂は思う存分に手に入れた力を行使し、自分を抑圧していた存在を破壊してまわる。
 粗野な体育教師や卑屈な数学教師がたむろしていた喫煙室を中心に雷を落として真森学園の校舎を半壊させた。
 路上パフォーマンスに対して異常なまでの敵意を見せて取締りをおこなっていた警察官たちの根城。警察署を竜巻で襲い、パトカーを何台も吹き飛ばした。
 ガラの悪い連中のたまり場だった公園に木々を芽吹かせて鬱蒼とした密林にし、人の侵入を阻むようにした。
 悪趣味なS教団の本部に衝撃波を放ち、灰塵と化した。
 街を睥睨するかのように丘の上に建つ多嶋邸はどう壊してやろうか。そんなことを考えながら空を飛ぶ平坂に猛スピードで追いつく飛影があった。
 鴉羽織を羽ばたかせた春虎だ。

急々如律令(オーダー)!」

 無数の呪符が放たれ、細かな紙片に分裂し、平坂をかこむように渦を巻く。
 いずれも金行符だ。
 金剋木。
 金気は竜身から吹き荒れる木気をまたたく間に拡散し、ついには紙片が全身にまとわりつき動きを阻害する。

(邪魔をしないで!)

 大きく身をくねらせ、強引に呪符をはぎ取る。それだけではない。霊気の奔流にのせて逆に金行符を打ち返してくる。もはや術≠ニもいえない力業だが、おどろくことではなかった。
 一流の陰陽師がもちいた呪詛を力業で粉砕した荒御霊の存在を、春虎は目の当りにしたことがある。霊災とはそういうものだ。
 刃と化した金行符が金光を放ち乱舞する。

「くっ、鴉羽!」

 漆黒の翼が旋転した直後、無数の羽根が渦巻き状に放射された。
 金行符に触れるや火花を散らし消滅させる。鳥の羽は五行では火に属する。
火剋金。
金行符による反撃をすべて無効化した。

「正気にもどるんだ、平坂っ。――搦めとれ! オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ!」

 同時に複数の術式を処理し、なんと一度に一〇の不動金縛りを放った。散弾のごとく打ち込まれる呪縛は外的拘束力よりも内的束縛
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