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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 4
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るには、五十パーセントってとこかな?」

 男の身体が、筋肉が急激に盛り上がった。もともと筋骨隆々としていた身体だったが、さらに筋肉が増えた。霊気も爆発的に増長する。ここまでくるともはや人の身ではない、まるで鬼だ。異形の鬼がそこにいた。
 その姿を見て鏡はますます愉快になった。
 こりゃあ、死ぬかもな。
 だが、それでいい。そうでなくては戦う意味がない。死線をくぐり抜けてこそ、強くなれる。弱い相手と何十何百何千回と戦っても無駄だ。意味がない。
 最低でも自分と同じ、互角以上の相手と死合って始めて経験となる。
 生きるか死ぬか、勝つか負けるか、二つに一つ。実戦に引き分けなんてぬるいものはない。だからこそ戦いはおもしろい。やめられない。
 殺し、殺される。最高の娯楽じゃねぇか……。今夜の霊災はアタリだな。鏡はそう確信した――。





「ひまですわね、お姉様」
「ひまですわね、玄菊さん」

 霊災が多発するハロウィンの渦中において、厳重な防御結界のほどこされたリムジン内で双子の姉妹が言葉を交わす。
 若く見える、というより見た目では年齢のわからない女性逹だった。
 まず着ている服がフリルを多用したかわいらしいブラウスとスカートで、カールさせた髪には花の髪飾りまでつけている。
 特別霊視官の幸徳井(かでい) 白蘭(びゃくらん)と幸徳井玄菊(くろぎく)だった。
 日本を代表する陰陽道の二大氏族。安倍清明で有名な安倍氏と、清明の師匠である賀茂忠行や保憲などの賀茂氏。
 安倍氏はのちに土御門を名乗り、賀茂氏は勘解由小路(かでのこうじ)を称して共に陰陽道を伝えてきた氏族だが、勘解由小路家は室町時代後期に没落、断絶してしまった。
 江戸時代。断絶した勘解由小路家に代わり、賀茂氏宗家となったのが幸徳井家だ。
 秋芳が養子になった、自称『賀茂』家とはちがう、正統な賀茂氏の末裔である。

「こんなにも霊災がドンドンバンバン出てきたら、わたしたちの出番なんてありませんわ」
「遠くから霊気を視るのと、直接肉眼で見るのでは迫力がちがいますわね。……あら?」
「あら?」
「「あらあらあらあら」」

 祓魔官逹の猛威をくぐり抜けて、人の身体に鳥の頭をした一体の動的霊災がひょこひょこと双子の乗ったリムジンに近づいてくる。

「あらあらどうしましょう、お姉様」
「どうしましょうか、玄菊さん」

 霊視官であるふたりに直接戦闘力は乏しい。
 力の弱い霊災であっても、修祓するのは困難なのだ。

「う〜ん、こまりましたわね玄菊さん」
「こまりましたわねお姉様」

 近くの祓魔官に連絡しようと思った矢先、鳥頭人身の霊災が手を差し出した。

「あなたが菓子であるだろう、欲しくて。必ずいたずらして」
「……? お菓
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