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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
序章
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 呪禁(じゅごん)
 道教に端を発する呪術の一種。
 存思、禹歩、営目、掌訣、手印という五つの技術を駆使して悪鬼を祓い、病気や災厄を防ぎ除去すると言われるが、その詳しい内容は不明である。
 呪禁の中でも特に禁呪や持禁(じきん)と呼ばれるものは、気を禁じることであらゆる事象の原因そのものを封じる(傷を禁じればたちどころに傷は癒え、人を禁じればその者は消滅する)ことができる、きわめて強力な呪術だったという。
 その使い手は律令制時代の日本において典薬寮に属し、呪禁師と呼ばれた。
 韓国連(からくにのむらじ)広足(ひろたり)などはその名人であったと伝えられる。
 のちに陰陽師や仏教の台頭によってその地位を追われ、本邦の呪術史から姿を消したと言われるが、 その真偽のほどは不明である――。





 鬼の手にした巨大な金棒が振り落ろされる。

「あぶないっ!?」

 秋芳の頭がグチャグチャに粉砕される様が脳裏に浮かび、思わず駆け寄ろうとする笑狸(えみり)

「来るなっ、問題ない、さがってろ」

 半身に反って避けつつ、そう口にするだけの余裕が秋芳にはあった。
 巷の陰陽師たちとちがい、体術には自信がある。
 武術はもっとも実践的な魔術のひとつ。そのような考えのもと、幼い頃から鍛錬を重ねてきたのだ。
 もっとも戦っている相手は二メートルを軽く超える巨躯の鬼。肉弾戦のみで倒すのは骨が折れる。

「禁武器則不能殺傷、疾く!」
 
 武器を禁ずればすなわち傷つけ殺めることあたわず。
 秋芳から放たれた気が鬼の手にした金棒にまといつく。

「GUGAAAAッッッ!!」
 ふたたび鬼の攻撃。横薙ぎに振るわれた金棒が秋芳の体にめり込む。
 骨も内臓もグチャグチャになるかと思われたその一撃はしかし、秋芳の体になんの傷も負わせなかっ た。真綿を押し当てられた程度にしか感じられない。

「Fuu?」
 
 困惑する鬼。
 その隙を見逃す手はない。
 素早く導引を結び、口決を唱え、矢継ぎ早に術を行使する。

「禁手則不能持、疾く!」

 手を禁ずれば、すなわち持つことあたわず。
 鬼の手から金棒が落ちる。

「禁足則不能立歩、疾く!」

 足を禁ずれば、すなわち立ち歩くことあたわず。
 足元からくずれ落ちるように倒れ伏す鬼。

「GA、GAGAGAGAッ!?」
 
 牙を剥き出し、狼狽する鬼。抵抗する力を奪ったことを確認し、最後の仕上げにかかろうとした、その時。

「GA、GAGAッ!、餓牙ッ、牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙阿阿阿阿阿阿
阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨ッ」

 哭いた。
 まさに鬼哭。鬼の口から耳をつ
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