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ダン梨・I
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 ソーマ・ファミリア殲滅作戦の細工は流々だ。

 まず、団長のザニス・ルストラを落とす。ゲドくんの『善意』によってもたらされた情報によると、現状のソーマ・ファミリアがファミリアとしての体裁を保てているのはこの男がいるからだ。逆を言えば、こいつを落とせばファミリアは瓦解する。

 これまたゲドくんに『善意』の協力を得てザニスの行動パターン、週別のスケジュール、人間関係、癖、趣味などを徹底的に調べてもらう。これは小物で頭の悪いゲドくんにストレートにさせると不自然さが出てしまうと思い、俺がゲドのサポーターのふりをしてソーマ・ファミリアに近づくことでさりげなく情報を手に入れた。

「おら、ノロノロしてんじゃねえよ雑魚冒険者が!(言いすぎると後で何を言われるか分からない分台本通りにすることに必死)」
「す、すいやせんアキニィ〜〜!!(仕返しのためにミスの数をきっちり数えている)」
「ゲドのやつ、いい子分手に入れたなぁ」
「ああいうタイプ、囮に使うのに丁度いいんだよ……げへへ」

 更に、このファミリア内に存在する不穏分子、すなわちザニス体制を快く思わない存在――ドワーフのチャンドラとコンタクトを取ることに成功する。

「あの目の上のたんこぶを蹴落として別のトップを据えれば、ソーマの出来高制は廃止だ。それに、俺らの掴んだこのファミリアの実態が表に出たら間違いなく酒造りにペナルティが来る。ギルドを言いくるめて実体を隠蔽するには、今のうちにザニスを落とすしかない。どうだ?こっちには戦力に少々アテがあってね……」
「お前、ガキの癖して黒い奴だな……だがザニスと違って自分だけが得する事は考えてないだけマシか。いいだろう。ただし、切っ掛けは上手く作ってくれよ」

 彼はソーマを呑むことが大好きではあるが、他人を蹴落としてまで美味い汁を啜ろうと思う程に欲深な人間ではない。それはゲドみたいな下っ端の雑魚でも感じていた事らしい。ただし、「上手い切っ掛け」が上手くいかないようならば何も行動しないという。まぁ、妥当な判断だ。

「という訳で、情報は揃った。では明日の計画を説明する!!」
「たった1週間がこんなに長く感じたのは初めてだな……」と、しみじみするベル。
「でもいいじゃないですか。この計画、リリ好みです……♪」と、乗り気なリリルカ。
「『みんなで幸せになろう』、ね。まさか本気だったとは………」と、戦慄するゲド。
「酷い搦め手ですが、蛇の道は蛇という事ですか………いや、バミューダさんの年齢で蛇の道ってどういう事なのか全然理解できませんが」とは暇を持て余し気味だったリューさん

 こうしてお膳立ては整えられた。さぁ、終わりの始まりだ……!!
 俺は決起前の景気づけにいつもよりちょっといい梨の皮をむいて周りに切り分けつつ、明日の計画
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