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十月の嵐
第三章
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「それでね」
「泳ぐんだね」
「そうするわ」
 こう彼に言った。
「私はね」
「それはいいね、ただね」
「ただ?」
「いえ、急な展開ね」
 プールに行くとかだ。
「本当にね」
「そうだね、けれどストレス溜めるならね」
「思いきり泳いですっきりして」
「それからゲームもすればいいよ」
「そうね、ゲームもストレスある状態でしても」
 それがストレス解消の為にすることでもだ。
「かえってよくないし」
「いらいらしたまましてもね」
「沈んでいてもね」
「ゲームは最初から楽しくするに限るよ」
 何といってもというのだ。
「だからね」
「ええ、じゃあね」
「一緒に思いきり泳ごうね」
「水泳は専門じゃないけれど」
 学生時代は中学から高校まで陸上部でマラソンをやっていた、大学ではサークルでバスケをしていて今は週に五日はジョギングをしている。
「やるわ」
「それで身体動かすね」
「そうするわ」
 実際にそうすると言ってだ、そのうえでだった。
 彼の運転する車でプールに行った、そこで水着を買ってだった。
 二人で泳ぎはじめた、すると。
 何か嵐でイライラしていたせいか泳いでいるとどんどん泳いですっきりしたくなった、それで実際にどんどん泳いで。
 一時間位ぶっ通しで泳いでからだ、彼に言われた。
「休まなかったね」
「ええ、もうとにかくね」
「イライラしていたから」
「だからね」
 プールの窓の外を見るとまだ嵐だった、そのイライラというか沈むというかとにかく嫌な気持ちだったからだ。
「それを紛らわせたくて」
「どんどん泳いだんだ」
「一時間ね」 
 本当に休むことなくだ。
「泳いで。そのお陰で」
「すっきりした?」
「したわ」
 もう泳げない、そこまで身体を動かしてだ。
「気持ちよくなったわ」
「それは何よりだよ、僕もね」
 彼もこう言った。
「すっきりしたよ」
「あなたもかなり泳いだの」
「休まずにね」
 一時間の間というのだ。
「そうしたよ」
「それでなのね」
「うん、もうね」
 すっかりという返事だった、自分でも思った。
「すっきりしたわ」
「それは何よりだね、じゃあね」
「ええ、これからね」
「お部屋に帰って」 
 そしてだった。
「ゲームしましょう、ただね」
「ただ?」
「ほら、水泳ってお水の中にいても身体全体を動かすから」
 激しい運動だからだ。
「汗かいてね」
「喉渇いたんだ」
「お酒買いましょう」
 飲みたくなった、だからだ。
「ビールかワインか」
「じゃあおつまみも」
「それは晩御飯を作るから」
「それで飲むんだね」
「そうしましょう」
「じゃあ何を作るのかな」
「そうね、秋だから」
 十月、まさに秋真っ盛りだ
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