暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第1話 学園のアイドル
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キャラの定番である「勘違いしないでよねっ」という台詞がお気に入りの彼は、決まって「ねっ」という語尾を使いたがる。その外見に対して、些かミスマッチではあるのだが。

(だいたい、伊犂江さんが用事あるのって、R! お前だろ! なんとかしろっ!)
(え、えぇー……オレぇ……?)

 隣で弁当を開いていた信太に対応を押し付けられ、Rは困った表情で優璃の方に視線を移す。彼女は弁当箱を持ったまま、近くの椅子を借りて座っていた。
 どうやら少し話をするだけではなく、昼食までここで食べるつもりらしい。周囲の殺気が、ますます高まる。

「あ、あはは。まぁ、別にやらなきゃいけない理由もないし。単に機会がないからやってないだけだよ」
「ふーん? でも、今時『ハピホプ』やってない人の方が珍しいよ? 鶴岡君と真木君は?」
「ふぇっ!? ぼ、僕は登録はしてるけど、あんまりやってないんだねっ」
「ぼ、僕もかな……」
「そうなんだ。じゃあ三人とも、別のゲームしてるの?」
「そ、それは……うーん……」

 優璃の問いかけに対し、三人組は言い淀んでいた。
 確かに「Happy Hope Online」、通称「ハピホプ」が今あるVRゲームの中での主流ではあるが、他にも人気があるソフトは幾つかある。優璃は三人組がそのどれかを遊んでいて、その繋がりがあるから付き合いがあるのだと当たりをつけていた。
 それ自体は間違いないのだが、その「三人組が遊んでいるゲーム」というのが、少々言いにくいのである。

「――伊犂江さん。そいつらから、離れた方がいい」
「えっ?」

 その時。凛とした声が、この教室に響き渡り――その声を聞いた女子生徒達が、一様に頬を赤らめた。
 優璃の隣に現れ、その細い肩に手を置く声の主は、黒髪を短く切りそろえた美男子だった。

 生徒会役員、真殿大雅(まどのたいが)。女子生徒達から高い人気を集める、文武両道の秀才としてその名を知られている少年だ。
 一年にして、サッカー部のレギュラーを勝ち取ったスポーツマンということもあり、優璃ほどの規模ではないにしろ、ファンクラブも設立されているとか。

 そんな人物に声を掛けられれば、大抵の女子は顔を赤らめ喜んでしまうものなのだが――優璃はきょとんとした表情で、彼を見上げていた。

「こいつらはVRの女の子に如何わしいことをするゲームをしている連中なんだ。関わると、君に危害を及ぼすだろう。すぐに離れるんだ」
「ちょ、ちょっと待て! 『Love Hearts Online』はそんなゲームじゃないぞ!」
「そ、そうなんだねっ! プレイヤー好みにクリエイトした女の子と、デ、デートしたり出来るゲームってだけなんだねっ!」

 大雅は心底見下したような目つきで三人を見下ろし、優璃の肩に優し
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