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ウルトラマンカイナ
最終話 旅立ちと再起
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た。
 付属高校の校舎は、あの戦いが嘘のように静かで――まるで、全てが夢であったかのようだった。

「……」
「……梨々子、やっぱ一度帰った方がいいんじゃないか? またあんたんとこのお父さん、心配で胃痛になっちゃうよ」
「ごめん、智花。……もう少しだけ、ここにいたいの」
「いやまぁ、あたしはいいんだけどさ……」

 憂いを帯びた表情で、想い人を待つ梨々子。その切なげな貌を、智花はじっと見守っていた。

 ――宇宙人や怪獣が、この地球を再び攻め立てるようになったのは、ここ数年の話であり。彼女達が小学生の頃は、怪獣も侵略者も過去の物となっていた。
 その当時、戦う相手がいなかったBURKは「税金泥棒」「暴力装置」などとメディアに叩かれ、今より遥かに肩身が狭い思いをしていた。その司令官の娘である梨々子も、そんな世情の誹りを受ける形で、苛められていたのである。

 ――そんな彼女をただ1人庇い、BURKが必要とされる今の時代になるまで、彼女の味方であり続けたのが……幼き日の風祭弓弦だったのだ。

 彼は、どんな時も自分の側にいてくれた。だから、今度は自分が……。

「……!」

 そう強く想う彼女が、ハッと顔を上げ――感涙を頬に伝せながら、教室を飛び出していく。智花の視界に、駒門琴乃に連れられた風祭弓弦の姿が映り込んだのは、その直後だった。

「風祭くぅうぅんッ!」

 梨々子は涙を浮かべながら、満面の笑みを咲かせて――弓弦の胸に駆け込んでいく。そんな彼女を見つけ、普段どおりのぽけーっとした笑顔を浮かべながら。

(……父さん。オレ、もう一度だけ目指してみるよ。地球を守る、BURKの隊員をさ……)

 ――風祭弓弦は、心の奥底に新たな夢を刻むのだった。

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