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うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
最終話 地球防衛軍英雄譚
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 ――巨獣ソラスの脅威は去り、イギリス支部はロンドン復興を再開。一度は崩れたかと思われた平和は、たった4人のEDF隊員によって取り戻されたのだった。

 フィリダとアーマンドの2人は無断出動だったのだが、実績を鑑みて厳罰に処されることはなかった。トイレ掃除1週間という処分を経て、2人は改めて英雄として迎えられたのである。

 飛鳥竜士。フィリダ・エイリング。一文字かりん。アーマンド・マルスレイ。彼ら4人には勲章が授与され、復興に向かうロンドンから「救国の英雄」と讃えられたのだった。

 ――もう、リュウジを「うぬぼれ銃士」と呼ぶ者はいない。彼を指し示す異名は「伝説の後継者(レジェンド・サクセサー)」と改められ、後の世の教科書に、その名を残すことになる。

 そんな英雄達の凱旋と復興の再開から、1年が過ぎた2021年。
 リュウジ・アスカは、とある一つの大きな転換期(ターニングポイント)を迎えようとしていた。

 ◇

 ――歴史あるロンドンの街並み。その中でも一際目立つ、絢爛な豪邸。

 エイリング邸と呼ばれる、その宮殿の如き屋敷を――軍の礼服に袖を通すリュウジ・アスカが、穏やかな面持ちで見上げていた。
 その隣に立つアーマンド・マルスレイは、門前に立つ親友をニヤニヤと笑いながら見守っている。

「……しっかし、てめぇも災難だよなぁ。地雷みてぇな女2人に目ぇ付けられちまうなんてよ」
「あはは、地雷なんかじゃありませんよ。私などには勿体無い方ばかりで、恐縮です」
「いやぁ、片方は確実に地雷だと思うけどなぁ。……恋敵の屋敷に乗り込んで行くような猪女だぜ?」

 アーマンドはうんざりしたように苦笑いを浮かべ、屋敷に目を向ける。

 ――現在、屋敷では煌びやかにドレスアップした2人の美姫が、リュウジの到着を今か今かと待ちわびていた。
 煌めくブロンドの髪を持つ、イギリスの淑女は青いドレスに。艶やかな黒髪と豊かな胸を持つ、副司令の令嬢は赤いドレスに。それぞれの美しさを引き立てる衣装に、身を包んでいる。

 2人は今日、ある大きな転換期(ターニングポイント)を迎えるために、こうして美しく着飾っているのだ。

 ――「伝説の後継者」リュウジ・アスカの名声は今や、ロンドン中に知れ渡っている。彼の求心力に目を付けた勢力が、縁談を多数持ちかけてくる可能性は極めて高い。
 ゆえにその前に、当人には早々に身を固めて貰おうということになり。その候補として真っ先に名乗りを上げたのが、この2人の美姫なのだ。

 しかし、どちらもリュウジと共に戦った4大英雄の一角。しかも、良家の子女でもある。家柄においても女性としての魅力も、実質互角であった。
 ならば両者と事実上の婚姻関係を持ち、片方を公妾(こうしょう)とすること
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